PC周辺機器・アクセサリー選びで迷ったらバリエーションの多さに注目すべき理由牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2018年06月01日 13時30分 公開
[牧ノブユキITmedia]
work around

 PCの周辺機器やアクセサリーは、本体機器とセットで使用することを前提に作られている以上、形状や機能にはどうしても制約がある。そのような中で、複数のメーカーが同じカテゴリーで製品を投入し始めると、似たり寄ったりになってくるのは必然だ。

 そうした際に決まって登場するのが、製品のバリエーションだ。もともとあったモデルだけでは、なかなか新鮮味が維持できないため、少し手を加えたバリエーションを追加することで目先を変え、少しでも製品を延命させようとするわけである。

 もっとも、見方を変えると、こうしたバリエーションが後から登場するということは、元の製品がきちんと使える製品であることの裏返しでもある。逆に何らかの問題を抱えた製品であれば、バリエーションなど作るはずがなく、ラインアップごと消えていてもおかしくない。

 つまり後からバリエーションが追加された製品は、まともな製品である確率が高く、いまいち製品知識がなく選ぶポイントが分からない場合など、こうした製品を選んでおけばハズレを引きにくいというわけだ。

 今回はそうした製品について、具体的にどのようなモデルケースがあるのかを紹介していこう。製品が抽象的すぎて分からないという人は、マウスなどを思い浮かべてもらうとよいだろう。

差異化要因とするためのバリエーションあの手この手

 誰もがすぐに思い付く製品のバリエーションと言えば、カラーバリエーションだろう。他社は出していない色を投入することで、その色を求めるファンに振り向いてもらおうという作戦だ。ほんのわずかな色の違いで売れ行きは格段に変わったりするので、意外とばかにできない。

 もっとも、塗装を変える場合も成型色を変える場合も、それほど手間が掛かるわけではないので、売れていることが分かれば他社もすぐに追従してくる。数カ月経てば、効果がなくなっていることもしばしばだ。

 もうひとひねりするのであれば、絵柄を入れる、あるいはデザイナーズ製品やキャラクターとタイアップするという手もある。色を変えるという単純作業に比べると工数が掛かるため、しばらくは他社が追従してくることはない。またデザイナーズ製品やキャラクターものは、他社から全く同じものが出る可能性はないので、ひとたび当たれば独占状態になる。

 一昔前を思わせるレトロ調、近未来を思わせるデジタル調など、製品のテイストを変えるのも有効だ。これらは中身はそのままにボディーデザインから作り直すため、金型代などのコストも相応に掛かるわけだが、中にはキーボードのように、キートップのフォントを変えるだけで個性がガラリと変わる製品もあり、一風変わったバリエーション展開としては効果がある。

店頭では見られないバリエーションも

 上記はいずれも、量販店での店頭展開を意識したバリエーションだが、必ずしも量販店の店頭に並べるのが目的ではなく、とにかく数をさばいて延命させたいのであれば、別の方法がある。例えば、法人向けのノベルティがそれだ。

 これはつまり、発表会や製品展示会などで来場者に配布することを目的に、各企業のロゴを入れるなどして作る特注品である。数十個や数百個といったまとまった数量が一気にはける上、返品も発生しづらいので、メーカーにとってはかなりオイシイ。ただし商談をまとめるためには値引きが欠かせず、結果的に薄利になることもしばしばだ。

 また、ここまで見てきたバリエーションは、もともと無地だった製品に色なりロゴなりデザインなりの要素を加えるものばかりだが、これとは逆に、要素を減らすことでバリエーションを作る方法もある。具体的には簡易パッケージや、複数個をセットにした製品だ。

 簡易パッケージの製品は法人への導入、特に学校物件などで好まれる傾向があるので、店頭展示用のハデなブリスターパッケージから白箱に変えることで、販売数量がいきなりドカンと1桁増えることもしばしばある。マウスや電源タップなどがその典型例だ。3個セットや5個セットといった製品も、大きな案件では好まれる。

 もちろんそのためには、法人が定番で扱ってくれるよう営業の働きかけが必要になる他、長期欠品が出ないようなバックアップ体制の確立、また短期的なモデルチェンジが発生しないよう開発部と一体になっての販売体制作りも欠かせないわけだが、それだけにひとたび話がまとまれば、後は毎月かなりの量がはけるのでビジネスとしてはうまみがある。

 余談だが、こうした法人向けの簡易パッケージモデルが、店頭で販売されることもある。オリジナルの製品と並べて売るのではなく、特価商材としてワゴンに山積みにしたり、チラシ商材として使ったりするわけだ。これならばオリジナル製品と共食いになることもなく、また値下げの対応なども必要ないので、メーカーにとってはありがたい。

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