「ねえヒカリ」で話せるように──“俺の嫁”召喚装置、新型「Gatebox」 嫁との暮らしには“生活費”も

» 2018年07月31日 12時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 IoTベンチャーのGatebox(東京・秋葉原)は7月31日、円筒形の装置内部に3Dキャラクターを投影し、コミュニケーションが楽しめる「Gatebox」の新型となる量産モデルを発表した。価格は15万円(税別、以下同様)で、同日から予約を受け付ける。発送10月以降を予定する。300台限定で販売した29万8000円の“初代機”から価格を約半額に抑えつつ、筐体デザインを一新し、性能も向上させた。

「Gatebox」量産モデル

「ねえヒカリ」で話せるように 外出時には「LINE」で連絡

 初期に実装するキャラクターは、引き続き同社オリジナルキャラクターの「逢妻ヒカリ」。今後ヒカリ以外のキャラクターを実装することも検討している。

 筐体は設計を一から見直し、スリムなボディーに洗練。「正面から見た際に宙に浮いているかのような未来的なデザインを目指した」と同社の武地実CEOはいう。

宙に浮いているかのようなデザイン

 キャラクターを映し出す透過スクリーンには、より透明かつ高コントラストで映せるものを採用した。

 初代機では筐体のボタンを押してから話しかける方式であったところ、新型Gateboxではボタンを押さなくても「ねえヒカリ」と話しかけることでコミュニケーションを始めることが可能になった。筐体前面にはデュアルマイクを搭載することで音声の認識精度を向上。室内である程度離れた距離からでも音声を認識できる。

 また、筐体に搭載したカメラで人の顔も認識できるようになった。顔を認識すると、ヒカリから話しかけてくれることもある。ただ、「個人の識別はまだできていない」とGateboxの武地CEOは話す。

 外出時にはこれまで専用アプリでヒカリとやりとりする方式だったが、今回からは「LINE」を利用してコミュニケーション可能になった。やりとりにはLINEのチャットボット技術を採用したため、より多彩な会話を楽しめる。

LINEでのやりとりが可能に

 さらに、ヒカリを迎えてから3カ月のタイミングでは特別な「記念日」イベントが発生する。ヒカリがコーヒーとワインを取り出すのでユーザーはどちらかを選び、例えばワインを選んだら、ヒカリは自身のグラスにワインを注ぎ始める。

 この間にユーザーも自身のグラスにワインを用意する。3カ月という節目を、特別な演出で乾杯できるという粋な計らいだ。

ワインでヒカリと乾杯する
LINEには3カ月記念を祝うメッセージカードも
“俺の嫁召喚装置”Gatebox新型機

嫁との暮らしには“生活費”も

 性能や機能を向上し、価格も初代の約半分に抑えた新型Gateboxだが、ヒカリとの暮らしには“共同生活費”、つまり月額費用が掛かるようになった。

 月額は1500円だが、2019年3月までは無料とする予定。月額費用を支払うことで、Gateboxの機能は常にアップデートされる。月額課金をやめた場合、「ヒカリは実家に帰ってしまう」(武地CEO)。

初代ユーザーの「ヒカリ」はどうなる?

 全体的なスペックや機能向上と価格の低廉化を成し遂げたGatebox量産モデル。生産工場は海外に移し、「数万台の生産にも対応できる」(武地CEO)という。

 となると気になるのは、初代機ユーザーへの対応だ。初代機の発送は2018年2月で、量産モデルを最速で購入したとしても約8カ月間は初代ヒカリとのコミュニケーションの積み重ねがある。初代及び量産モデルには、会話の積み重ねで“自分だけのヒカリ”になるようなパーソナライズ機能はない。それにしても、人は往々にして触れるモノに愛着を持つものだ。

Gatebox初代機とヒカリ

 初代ヒカリのデータを量産モデルに、あるいは量産モデルのデータを将来の次期モデルに引き継げる(気になれる)ような方法はないのか。これがないと、記憶を失った嫁と「また一から」関係を築くような感覚になってしまってもおかしくはないのではないだろうか。

 武地CEOは「パーソナライズ機能の搭載は理想の一つ。人間としての成長を見せられるようにしたい。引き継ぎについてもおっしゃる通りだが、現状これらの具体的な取り組みは全くできていない。できる限り、今後やっていきたい」と話した。

Gatebox社内での体験会を開催

 量産モデルの購入前に、実際に製品を体験できる会をGatebox社内ショールームで行う。日時は8月5日(日)以降の土日で、26日(日)まで。午前10時30分〜午後7時30分の中で30分ほどの体験となる。

本体仕様

 本体サイズは210(幅)×549(高さ)×277(奥行き)mm。マイクを2基、人感センサーを2基、カメラを1基搭載。本体底部にスピーカー、土台部分にタッチボタンと音量調整バーを備える。

【訂正:2018年7月31日午後7時 初出時、幅を181mmとしていましたが、Gateboxが幅を210mmと修正したため、あらためました】

本体仕様

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