「XPS 15 2-in-1」は絵師の夢をかなえるか 人気イラストレーターが徹底検証(4/6 ページ)

» 2018年09月22日 11時00分 公開
[refeiaITmedia]

お絵描きでチェック

 早速描いていきましょう。今回は仕事場でCintiq Pro 16を置いていた部分にそのまま本機を据え付けて描いていきます。ラフから彩色までがCLIP STUDIO PAINT、画面効果やレタッチなどの仕上げがPhotoshop CCです。

仕事場に設置

ラフ

 今日はいつもの魔女の妹さんを描いていくことにします。ラフについては自分はガツガツと荒く描いていくタイプなので、ペン性能はあまり大事ではないですが、遅延が大きいと気になりやすいです。

 摩擦の感触については、Surfaceシリーズのような、ちょっとゴムっぽいヌルヌルとした感じです。Cintiq ProやMobileStudio Proのようなサラリとした気持ちよさはありませんが、摩擦がないよりは線が安定しやすいです。ベストではないですが、光沢画面としては摩擦がちゃんとあるように作ってくれてうれしいな、という感じですね。

 ややトリッキーなのは、タッチ操作などで画面に手垢がついているとペンの摩擦がほとんどなくなり、ツルツルな感触になってしまうということです。

 というわけで、ラフはおおむね快適に描けました。ジッターの問題は、顔などの比較的丁寧に触る部分では違和感として感じ取れますが、ほとんどの間、気にしないでいることはできます。

線画

 ラフが普通だったので心配していたほどではないのでは、と思いながら線画を描き始めましたが、やはり心配していたジッターの問題が出てきます。

 ジッターの問題で一番しんどいのは、正確に描きたいときほど不正確さが強調されることです。例えば、顔のラインなどの大事な部分を丁寧に描いていると、不随意に線が曲がってしまって大きなストレスになります。

 お絵描きソフトの手ブレ補正機能を強くかければ線を滑らかにできますが、このレベルのジッターを消すほど強くかけると、線に角をつけたいときに丸くなってしまったり、緩急をつけたのがうまく効かなかったり、平滑化処理のために遅延が発生したりと、多くの問題が出てしまいます。

 といったところで……本機では線画は快適とは言いづらい描き味になりますが、キャンバスを拡大気味に表示したり、線を素早く引くよう心掛けながら進めていきました。

この時点で左右どちら向きで描き始めたか分からなくなっています

 最終的にある程度の線画を描いたには描いたのですが、快適ではないですし、時間も無駄にかかってしまいました。本機は15.6型で4Kという、線画にはこの上なくうれしい細密で正確な表示能力を持っているので、ペン性能がそれにふさわしいレベルに進化してくれなかったのは本当に惜しまれます。

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