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» 2018年12月12日 06時00分 公開

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10の“おせっかい機能”はマネタイズのため?

Windows 10では、従来からユーザーが意図しない形でアプリケーションが“勝手に”導入されていた。今回、新たにLINEアプリなどが加わったことで物議を醸しているようだ。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 ここ最近、Windows 10に関して大きな話題になったトピックの1つに「意図しないアプリが勝手にインストールされる」というものがある。

 ITmedia NEWSでも岡田有花氏が「『LINEが勝手にインストールされた』Windows 10の“おせっかい機能”不評」というタイトルでレポートしているが、Windowsの大型アップデート、特に最新の「Windows 10 October 2018 Update」が配信されたタイミングで「LINE」が勝手にインストールされたという報告が相次ぎ、「Windows 10が勝手に意図しないアプリをインストールする」機能が大きく取り上げられることになった。

リージョンごとに異なるアプリがインストールされる

 この報告は2018年に入ってから顕著になってきたが、How To Geekのクリス・ホフマン氏によれば、Windows 10で最初の大型アップデート「November Update(1511)」のタイミングで「Microsoft Consumer Experience」の名称で導入され、続く「Anniversary Update(1607)」で有効化されたという。

 これは、Windows 10のスタートメニューにある「Suggested」カテゴリに、大型アップデートの度に2〜3個のアプリが加わるというものので、特に「Candy Crush Soda Saga」といったゲームアプリが追加されることが多かった。

 前述の記事で岡田氏も報告しているように、提供されるリージョンごとにアプリの種類は異なり、今回のOctober 2018 Updateにおいて、日本ではLINEと「3D Viewer」が選択されたようだ。

Windows 10
Windows 10 最近導入されたアプリはストアアプリの「インストール済み」(画像=上)や、Windows 10のスタートメニューなどから確認できる(画像=下)

 問題は、Windows 10 Homeと同Proを利用する一般ユーザーがこの機能を「無効化できない」点にあり、特定の管理下にあるWindows 10 Proが実行されたPC、またはWindows 10 Enterprise/Educationのいずれかのエディションでのみインストールを防止できる。

 Microsoftでは、アンインストールの方法も含めサポート対応を行うとしているが、そもそも意図せず勝手にアプリがインストールされる状況に、ほとんどのユーザーが不満を抱いており、「なぜなのか?」と疑問を抱いているはずだ。

理由はWindows 10のマネタイズ?

 Microsoftがユーザーに嫌がらせをするために行っている訳ではないと思うが、その理由をZDNetのエド・ボット氏は「マネタイズにある」と説明する。アプリのインストールを避ける条件としては、前述のようにEnterpriseかEducationに準ずるエディションのライセンスを持っているか、Proを利用していてもサインイン先としてMicrosoftアカウントやローカルPCではなく、Active DirectoryまたはAzure ADのアカウントを指定すればいい。

 つまり、企業向けに不必要なコンシューマーアプリが提供されるわけではなく、あくまで一般のコンシューマーユーザーをターゲットにした施策ということだ。ご存じのように、Windows 10では初期のOSライセンス費用を払った後はWindows as a Serviceの仕組みにより、いくらアップデートを提供してもコンシューマーユーザーから追加費用を回収する術はない。

 それに対し企業ユーザーからは、サブスクリプションやライセンス更新の形で費用が徴収できるため、この部分が差別化されているわけだ。ボット氏によれば、2015年半ばに行われた投資家向け説明会において、Microsoftは「new post-license monetization opportunities beyond initial license revenues(初期のライセンス売上をまたいで、その後にマネタイズするための新しい機会)」のことを説明しており、これがMicrosoft Consumer Experienceにおける強制インストールの正体だとみられる。

 同社では明言していないものの、かつてのPCでよく見られたプリインストールアプリのような形で、何らかのキックバックに近い機構が存在していると考えられ、ここから得られた収益をWindows as a Serviceの原資に充てているのではないかという推測だ。

Windows 10 Insider PreviewのMailアプリなどで、広告が試験的に挿入されているという

 実際、これに近い試みが話題になっている。イタリアのAggiornamenti LumiaというBlogメディアが報告したところによれば、一部ユーザーのMailやCalendarアプリに突如広告が出現したという。

 もっとも、これは一般ユーザーが利用するWindows 10ではなく、Windows Insider Program参加者が導入しているInsider Previewの最新版における話で、テスト的に先行挿入された広告だと推測できる。

 また、Office 365を利用していない「(サブスクリプションを利用していない)無料版」に近い状態での運用で、広告が入りやすい条件を満たしている。ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、Office 365などと連携していないOutlook.comの他、NewsやFinanceなどのWindows 10アプリにおいて広告が挿入されるケースが散見され、MailやCalendarのようなアプリで表示されるのも不思議ではないとしている。

 だが、後にジョー・フォリー氏が報告したところによれば、Microsoftのコミュニケーション担当トップのフランク・ショー氏がTwitterで「同広告は“試験的”なもので、機能を無効化する計画だ」と述べていたという。今後もこうしたMicrosoftによる試みは続けられると思われ、ユーザーの評価と合わせながら少しずつ導入が行われていくことになるだろう。

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