ソニーは、米国ラスベガスで1月8日(現地時間)に開幕する世界最大級のエレクトロニクスショー「CES 2019」で、音楽配信用の立体音響技術「360 Reality Audio」(サンロクマル・リアリティオーディオ)をお披露目する。コンテンツ制作ツールの提供やフォーマットの公開も予定しており、オープンな規格として普及を促進する考えだ。
ソニーが開発したオブジェクトベースの立体音響技術。ボーカルやコーラス、楽器といった音源に距離や角度などの位置情報を付加し、リスナーを中心に360°(全方位)、最大24のオブジェクトを配置できる。例えばライブ音源なら演奏に加えて参加者たちの足踏みする音が下から響いてくるなど、「視聴者がその場に入り込んだかのように臨場感豊かに再生する」(ソニー広報)という。
また新規録音はもちろん、過去の楽曲でもマルチトラックテープやステムデータ(DAW上で編集するために複数のトラックをまとめたデータ)があれば同社が提供予定のツールで対応コンテンツを制作可能。音声符号化方式は国際標準の「MPEG-H 3Dオーディオ」に準拠している。
同日、ソニーは世界的なライブエンタテインメント企業のライブ・ネーション・エンタテインメントと対応コンテンツの企画・制作で協業すると発表した。また音楽配信サービスでは「Deezer」(ディーザー)、「nugs.net」(ナグスネット)、「Qobuz」(コボス)、「TIDAL」(タイダル)がサポートを表明した。「対応コンテンツの制作から配信、再生に至る技術提供を通じ、エコシステムの形成を進める」(ソニー)
CESのソニーブースでは、13個のスピーカーを配置したマルチスピーカーのオーディオシステムの他、ステレオヘッドフォン「MDR-Z7M2」を使用した360 Reality Audioのデモンストレーションを行う。ヘッドフォンの場合、対応コンテンツがあれば専用機器は必要ないものの、「より良い体験のためには個人の聴覚特性を計測し、再生音に信号処理を施すことが必要になるため、スマートフォンで耳を撮影し、個人の聴感特性を解析するアプリケーションの開発も進めている」(ソニー)
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