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» 2019年02月07日 12時00分 公開

ゆくPCくるPC:Windows CEといえば「CASSIOPEIA」が始まった頃

平成のガジェットを振り返る連載「30年に渡る“平成のツワモノ”に光を当てる」の第3回は、カシオ計算機のハンドヘルドPC「CASSIOPEIA A-50/51」を見ていきます。

[田中宏昌,ITmedia]

 “平成”という元号が終わる2019年、「PC USER」は9月に創刊25周年を迎えます。そんな年だからこそできる、平成30年間のガジェットを振り返る連載「30年に渡る“平成のツワモノ”に光を当てる」。第1回のソニー「バイオノート505(PCG-505)」、第2回の松下電器産業(当時)「Let's note AL-N2」に続き、カシオ計算機のハンドヘルドPC「CASSIOPEIA」シリーズに迫ってみましょう。

Windows CEとは?

 カシオ計算機が、1997年に発売したハンドヘルドPCが「CASSIOPEIA A-50/51」です。

 そもそも、ハンドヘルドコンピューター(Handheld Computer)とは片手で持てる、持ち運びができる携帯情報端末として1980年代から利用されてきた言葉です。後にPDA(Personal Digital AssistantまたはPersonal Data Assistant)に取って代わられましたが、MicrosoftはQWERTYキーボードの搭載やOSにWindows CEを採用した端末を“ハンドヘルドPC”として定義し、1996年に「Windows CE Ver.1.0 英語版」をリリースしました。PhilipsやHewlett-Packard(当時)などと並んで、カシオ計算機も米国で製品を投入しています。

 今や懐かしいCOMEDEX/Fall '96(1996年11月にラスベガスで開催)の目玉として話題を集めました。当時はConsumer Electronicsの略と言われていましたが(後にMicrosoftが否定)、Windows CEはWindows 95のようにx86ベースではなく、Windows NTのようにx86はもちろんのこと、日立製作所(現ルネサス エレクトロニクス)のSHシリーズ、MIPS系CPU、PowerPCやARMなどにも対応していました。

 当時は日本語版の登場が待ちきれず、有志のパワーユーザーを中心に日本語化が進められましたが、システムレベルでの日本語対応が待ち望まれていました。そして1997年6月のWindows World Expo Tokyo 97にて、ついにWindows CE Ver.1.01 日本語版が発表されました。英語版をベースに、インクワープロ機能や手書き文字認識機能といった独自機能の追加も行われています。

 かな漢字変換エンジンはMS-IME97をベースにしたもので、日本語入力は物理キーボードと仮想キーボード(ソフトウェアキーボード)、手書き文字認識と3種類が用意されていました。

CASSIOPEIA 初の日本語版Windows CE搭載ハンドヘルドPCとなった「CASSIOPEIA A-50」(写真は後継モデルのA-60)

カシオ計算機が投入した「CASSIOPEIA」シリーズ

 この流れを受けて、日本国内でも1996年から英語版のCASSIOPEIAを販売していたカシオ計算機が、初の日本語版モデルとなる「CASSIOPEIA A-50」と「同A-51」を1997年に投入しました。同時期には、同じく英語版のハンドヘルドPC「Mobile Pro」を海外で展開していたNECからも、CPUにVR4102を搭載した「Mobie Gear MC-CS11/12」が国内発売されています。

CASSIOPEIA NECの「Mobie Gear MC-CS11/12」

 このCASSIOPEIAには、日立製作所のRISCプロセッサSH-3にカスタム処理が施されたCPUが搭載され、クロック周波数は40MHzでした。タッチ操作に対応した液晶ディスプレイは、解像度が480×240ピクセルでモノクロ4階調のグレースケールという仕様です。

 A-51とA-50の違いは、RAMの容量(A51が8MB、A50が4MB)で、Pocket WordやPocket ExcelといったMicrosoft純正ソフトや、日本語フォント、辞書ファイルは24MBのROMに格納されていました。

 もちろん、この容量では心もとなく、何とカシオ計算機はTYPE IIのPCのカードスロットだけでなく、CF(コンパクトフラッシュ)カードスロットを追加することで、ストレージの増設を可能としました。Windows CE Ver.1.0が標準でサポートしたPCカードはATA規格に準拠したフラッシュディスクとモデムカードのみ(ドライバの追加でVGAカードやGPSカードも利用可能)で、通信手段となるモデムカードやPIAFSカードがPCカードスロットを使用することを考えると、非常に助かるものでした。

 日本語化によって半角/全角キーなど3つのキーが追加された関係で、ボディーサイズは英語版より大きくなってしまいましたが、それでも185(幅)×94(奥行き)×24.5(厚さ)mmで重量は約390g(乾電池含む)と小型にまとまっていました。

 バッテリー駆動時間は単三アルカリ乾電池で約25時間、別売のリチウムイオン充電池で約15時間(いずれも非通信時)とNECのMobile Gearよりも控えめでしたが、ノートPCが2〜3時間駆動すればマシだった時代、長時間の駆動は魅力でした。

 そして何よりA51で8万8000円、A50で7万5000円という戦略的な価格(ROMとRAMがそれぞれ4MBだった英語版の国内価格が6万9800円)も話題を集めました。 

 その頃の筆者といえば、当時はまだ印刷機能を持たなかったPocket Wordや、グラフが描けずマクロ機能もサポートしていないPocket Excel、そして480×240ピクセルの小さな画面でHTML 2.0対応のPocket Internet Explorerといった純正ソフトをチマチマいじっていました。

 また、HP200LXで愛用していた路線検索ソフトTRAINをインストールしたり、ゲームではぷよぷよ、上海ドラゴンズアイ(確か体験版だったような)、AI将棋などをプレイしたりした淡い記憶がよみがえります。

 その後のCASSIOPEIAですが、1998年にはWindows CE 2.0への有償ROMアップグレードサービスが行われた他、キーボードレスのパームサイズPC「E-10」からPocket PC、さらにはノートPCの「CASSIOPEIA FIVA」シリーズへと受け継がれていきました。

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