オブジェクトを操作する場面がないと述べたが、実際にはSkype操作のためにウィンドウの移動やバーチャルボタンを押す動作を体験している。オペレーターを呼び出す際はDynamics 365ボタンを押し、一覧からオペレーターの名前を選択、後は作業の邪魔にならず視界に入りやすい位置に“手づかみ”でウィンドウを持ち上げて移動する。
途中、「赤いボタンを押せ」という指示で間違ってSkypeの(赤い)通話終了ボタンを押してしまい(本当は目の前にある機械の赤い緊急停止ボタンを押せという指示)、操作をすべて最初からやり直すことになるという思わぬ事態に直面したものの、生命に関わる緊急事態ではなかったため、おおむね問題なくトラブルは解決された。
さて、これだけ自由度が上がるとHoloLens 2の活用場面はいろいろ広がりそうだが、今回現地でインタビューを行ったMicrosoftコミュニケーション担当シニアディレクターのクレイグ・シンコッタ(Craig Cincotta)氏によれば、あくまで「100%商業・エンタープライズ用途に注力」という。一時期値下げのうわさはあったものの、要求スペックを落としてまでコンシューマーにフォーカスするつもりはなく、当面はこういった産業や教育用途などでの活用をパートナーとともに模索していく方針のようだ。
一方、現在のHoloLens 2はあくまで第2世代の製品であり、今後の改良の過程で派生版が出てくること自体は否定していない。今回LTEを採用しなかったのも「バランスの問題」と同氏は述べていたが、おそらくバッテリー駆動時間やパフォーマンスを犠牲にしてまで採用するものではないと判断したのだろう。
「現在の用途では必ずしも屋外での通信環境を必要としておらず、携帯ネットワーク自体も全てのエリアをカバーしているわけではない」とも触れており、ターゲットとするアプリケーションの問題から優先順位が低いことも示唆している。
また、こうした問題は世代を経るごとに解決していくとも述べており、第3、第4のHoloLensがどのような形で登場してくるのか、HoloLens 2を使っていく中でMicrosoftに対してフィードバックしていくのが、要望を実現するための近道なのだと考える。
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