Appleがまさかの“3日連続”新モデル発表 25日のイベントはどうなる?ITはみ出しコラム

» 2019年03月24日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Appleは、3月25日午前10時(現地時間、以下同)にカリフォルニア州クパティーノの本社でスペシャルイベントを開催します。そこで何が登場するのか、うわさ話が盛り上がるのはいつも通りですが、今回は意外な展開になりました。

 前週の18日に「iPad Air」と「iPad mini」、19日に「iMac」、そして20日に「AirPods」を発表したのです。25日のイベントで出してくるとうわさされていた主なハードウェアを3夜連続でさっさと発表してしまうなんて、どういうつもりなんでしょうか。

Apple Appleがスペシャルイベント前週に発表した新モデルたち

 25日のイベントはもともと、ビデオとニュースのサブスクリプション(=定期購読、以下サブスク)サービスの紹介がメインとみられているので、イベントのフォーカスをはっきりさせるための作戦なのかもしれません。ビデオとニュースだけでなく、ゲームのサブスクサービスAppleブランドのクレジットカードも発表されそうだという予測もあります。

show time Appleが25日に開催するスペシャルイベントの告知

 あるいは、盛りだくさんになりすぎちゃうので、メイン(サブスクサービス)以外のものは露払い的に発表したとか。iPadもAirPodsもiMacも、新サービスのコンテンツを楽しむための道具になりそうです。

 Appleが最初に成功させたストリーミングサービス「Apple Music」の発表が2015年のWWDC(世界開発者会議)での「One More Thing」だったことを思うと、この逆転は感慨深いです。

 Appleの直近の業績発表でも、プロダクト(iPhoneやMacなどのハードウェア全体)は売り上げが前年同期より減っているのに対し、売上高全体に占める割合はまだ少ないものの、サービス(Apple MusicやApple Newsなどのデジタルコンテンツやサービス、AppleCare、Apple Pay、ライセンスビジネスなど)はプラスです。

Apple Appleが発表した第1四半期(10〜12月)決算

 では、豪華なハードウェア発表によるドラムロールで盛り上げられたイベントで発表される動画、ニュース、ゲームのサブスクサービスとクレジットカードは、どんなものになるんでしょう。

 米Recodeのピーター・カフカさんの記事によると、動画サービスはコンテンツの提供側にとっては大きな違いがあるけれど、ユーザーから見ると「それ、App Storeのアプリで番組を見るのとどう違うの?」と拍子抜けするようなサービスになるようです。

 例えば現在、(米国では)App Storeで「HBO NOW」アプリをインストールすれば、アプリ内決済で「ゲーム・オブ・スローンズ」などのコンテンツを視聴できます。個別のコンテンツの価格はコンテンツを制作したHBOが決め、視聴データもHBOのものです。

HBO NOW App Storeで配信されている「HBO NOW」アプリ

 一方、新サービスでは、HBOなどのコンテンツ制作者はAppleが構えるコンテンツショップに作品を卸し、Appleがこれらの作品を店先に並べて提供します。「Apple TV」アプリが“店先”になるようです。だから、コンテンツの価格はAppleが決めるし、視聴データはAppleのものになるようです。

 ユーザーにとってはコンテンツを視聴する方法が1つ増えるくらいな感じですが、コンテンツ制作者にとっては大きな違いです。これまで自分のプラットフォームを持っていなかった弱小にとってはチャンスでしょう。でも、HBOなどの大手にとっては競合サービスに参加することになるし、データは奪われるしで、参加するメリットはあるんでしょうか。

 それは、「アクティブインストールベースの台数が14億台を超える」Appleのハードウェアで使うサービスだということ。そして、Appleがサブスクユーザーのデータを把握しているということは、Appleがユーザーの好みに合ったコンテンツを制作者横断で推奨できることを意味します。これも、制作者にとってはメリットです。

 14億台を持つユーザーのうち、何人が新サービスに加入するかは、Apple次第。ユーザーにもよほどのメリットを示さないと、「NetflixにもAmazonプライム・ビデオにも加入してるし、もうサブスクの動画はいらないかな」となりそうです。

 ちなみに、Appleがこれまでなかなか成功できないでいるオリジナルコンテンツは、今度こそユーザーにとってのメリットになるかもしれません。

 New York Timesによると、少なくとも5本のテレビ番組が既に準備完了だそうです。

 ニュースサービスは、昨年買収した定額制オンライン雑誌配信サービス「Texture」をベースにしたアプリを「Apple News」に統合して提供する模様です。

Texture iOS版の「Texture」アプリ

 MACお宝鑑定団によると、月額9.99ドルで、(他では個別にサブスクが必要な)ニュースやコンテンツを全て閲覧できるそうです。これはユーザーにとってはかなり魅力的。ただし、参加するコンテンツ制作者の数と質次第です。うわさではWall Street JournalやVox Mediaは参加するけれど、New York TimesやWashington Postは不参加らしいです。

 日本でもこのサービスが利用できて、New York Times、Washington Post、Bloomberg、The Information、その他、サブスクの契約をしないと読めない記事が多いメディアがみんな参加してくれたら、私は(仕事のために)使いたいです。

 ゲームのサブスクサービスは、加入するとApp Storeの有料ゲームを定額で複数プレイできるというもの。こちらも、人気が出るかどうかはサブスク料金と遊べるゲームの量と質次第です。

 Appleブランドのクレジットカードは、iOSの「Wallet」アプリと連動し、他のカードにはない家計簿的な機能が使えるそうです。何よりも、Appleのロゴが入った物理的なカードは、Apple好きなら欲しいでしょう。

 これらのサービスは、いずれにしても日本にはすぐには来ない気がします。そう思うと、日本で午前2時からライブ配信を見る気力もなえますが、楽しみもあります。

 1つは、イベント招待状のキーワードが「ショータイム」なだけに、イベントにはハリウッドスターが多数登場するらしいこと。イベント自体をショー仕立てにしてくるかもしれません。

 もう1つは、もしかしたら、1つくらいは新ハードウェアが発表されるかもしれないこと。うわさされていたのにまだ発表されていないのは「iPod touch」と「AirPower」くらいですが。

 現行のiPod touchはApple Musicを楽しむための一番お手頃な端末として提供されています。だったら、次のiPod touchは「Apple Movie」(仮)のためのお手頃端末としてサービスと同時に発表してもよさそうなものです。

 答えはもうすぐ。日本時間の3月26日午前2時からのライブ配信で分かります。

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