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» 2019年08月20日 11時00分 公開

高品質は当たり前:“元祖”と“完全国内生産”の自信に裏打ちされた「手づくり工房 2019」で感じたLet's noteのプライド (1/2)

パナソニックが、毎年夏休みに実施しているLet's noteの組み立てイベント「手づくりレッツノート工房 2019」が8月3日に開催された。本イベントに込められた同社の思いとは何か。

[田中宏昌,ITmedia]

 「これからが今日、一番大事なイベントなんですよ」

 そう語るのは、パナソニック コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター マーケティング部の作田繁昭部長だ。

Let's note 炎天下の元、車に乗って工場を後にする参加者を見送る神戸工場のメンバー

「Let's note」生誕の地、神戸工場

 午前9時30分から始まったLet's noteの組み立て教室「手づくりレッツノート工房 2019」の最後を飾る本イベントは、工場正門に人垣を作って工員総出で参加者を見送るもの。手元のApple Watchを見ると既に午後3時を回っており、気温は30度を優に超えている。さぞ疲労困憊(こんぱい)かと思いきや、完成したLet's noteを手に帰宅の途につく参加者も、それを見送る工場のメンバーも笑顔に包まれているのが印象的だ。

Let's note Let's noteの生産工場である神戸工場と、組み立て教室を支えたメンバー。150人近い参加メンバーは公募制とのことだ

 パナソニックが手がけるモバイルPC「Let's note」シリーズは、兵庫県神戸市の西神工業団地内にある神戸工場で生産されている。毎年、夏休みに入ると小学4年生〜高校3年生(9歳以上18歳以下)を対象とする組み立て教室「手づくりレッツノート工房」が同地で開かれ、2019年も313人の応募から抽選で選ばれた50組の親子が集まった。

 参加は事前予約制で、同社Webサイトまたは郵便はがき申し込み、応募人員の50人は工員の抽選により決まる。2019年は313人の応募があったそうで、倍率は6倍を超える人気ぶりだ。

Let's note 開校式で坂本寛明理事長の話を聞く参加者。地元の兵庫県は5組、隣の大阪府は13組、東京都からは5組が参加し、遠くは宮城県や福岡県からの参加者もいる。年齢別では10歳が13人と一番多く、高校生の姿も数人あった

 「この手づくりレッツノート工房は2019年で19回目を迎えます、当初は手探りで企画や運営を行っていましたが、今ではどうやって参加者に楽しんでいただけるかを考えるだけでなく、工場のメンバー自身が楽しみにしているイベントになっています。でも一貫して自前でやっているんですよ」(作田氏)

Let's note 工場メンバーが扮(ふん)する着ぐるみのロボスケ(左)、博士(中央)、そして2019年から新登場のロボピー(右)。PCの仕組みをコント風に解説したり、組み立ての応援を行ったり、時には狂言回しとして会場を盛り上げる

機械化を進める実装工程、でもフレキシブルに

 自前といえば、Let's noteが掲げる「MADE IN KOBE」は、文字通り基板の設計や製造、組み立てまでを全て神戸工場で行っている。生産ラインは工場2階に集約されており、フロアーの半分が機械化された電子部品(マザーボードなど)の実装、もう半分で人の手による組み立てと検査が行われる。

Let's note 生産は2階部分でほぼ完結しているが、法人向けのコンフィグ関連は1階で対応する。組み立て教室は3階の空きスペースを利用して行われる

 実装工程では、徹底した作業フローの見直しと自動化を進めることで工数の削減をしたり、高温下でも基板の反りを抑制したり、ひずみを防ぐ工法を導入している。また、マザーボードに搭載されるパーツの情報と製品の製造番号とをひも付けしてサーバに格納し、万が一障害が発生しても出荷先の特定といった追跡調査が瞬時に行えるよう、品質や工法にさまざまな工夫を施している。

 さらに、一般的な工場ではエラー発生時にすぐ対応できるようフィードバック用のラインを別途設けたりしているが、機械化が進む神戸工場ではフィードフォワードと呼ばれる制御が行われている。例えば、ある工程で「はんだを少し曲げて付けた」場合、その情報を以降の工程にあらかじめ伝達することで、その影響を極力抑えるわけだ。

Let's note 基板にIDを付与(レーザー刻印)するところから始まる実装工程。次にクリームはんだを印刷する
Let's note 高温炉で一括して自動はんだ付けを行う。実際の生産ラインに試験的に機器を投入し、成果が出れば他の工場にも横展開しているという
Let's note 続いて、コンデンサーや抵抗といった部品を基板に装着し、はんだの量や部品の装着精度を検査する工程に移る
Let's note 最後に基板両面のはんだ付けや極性検査を再度実施する。

 実装工程の最後では、フレキシブルに動けるように双腕ロボットが配置される。これまでは大口のロットのみ機械による自動化を行い、小口のロットは基板分割作業者が担当していた。

 そこに双腕ロボットや多関節ロボットを投入、連携させることで、生産台数に応じて基板の箱詰めまでを自動化できるようにした。高い品質と一品一様とを両立させつつ、生産量に応じてロボットが行ったり、人間が行ったりとフレキシブルな対応を実現しているのがポイントだ。

Let's note 2016年に導入された双腕ロボットの「Zeus(ゼウス)」。擬似信号を流して検査するファンクションボードテストなども行う
Let's note こちらは2018年に投入された「Metis(メティス)」。多数の指を備え、細かな動作が可能だという
Let's note こちらは製造ライン。4人前後が1チームのセル方式を採用している(提供:パナソニック)
Let's note Let's 製造も実装と同様に機械化できるが、設計の制約が出てしまい小型化に限界が出てくるので人でやっているとのことだ(提供:パナソニック)
Let's note 工場では珍しく、フリーアドレス制を採用している

 次のページでは、さまざまな品質テストなどの工程を見ていく。

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