魅力を再構築した新モデル「Apple Watch Series 5」の進化と変化林信行がレビュー(2/3 ページ)

» 2019年09月18日 19時00分 公開
[林信行ITmedia]

いざというときに役立つ緊急通報

 もう1つの新機能は「海外における緊急通報」だ。日本では110番で警察(警察の通信司令センター)、119番は消防署(災害救急情報センター)だが、米国では両方とも911番と、緊急電話の番号は必ずしも同じではない。何か不測の事態が起きて助けが必要な際、Apple Watchのこの機能を使えば海外の渡航先でも、すぐにセルラー通信機能付きApple Watchから、緊急電話をかけることができる。

 ただし、残念なことに日本の携帯電話利用の複雑なルールのせいで、東京オリンピック/パラリンピックなどで訪れる海外のApple Watch Series 5ユーザーが、日本でこの機能を利用しても世界でもまれな「110/119」番の緊急電話にはつながらない。

 これまでApple Watchに興味がなかった人だけでなく、Apple Watchを既に持っている人でも、滅多に使わない機能なだけに知らない人が多いかもしれないが、今、Apple Watchは日々、世界中で大勢の人を身の危険や、命に関わる健康状態の変化から救っているので、この機会に、それらの機能について軽く触れよう。

 Apple Watchでは側面のボタンを長押しすると「緊急SOS」というスライダーが現れる。これをスライドすると、あらかじめメディカルIDという情報で設定した家族などの連絡先にGPSを使った現在の位置情報などを送信することができる(残念ながら、こちらはApple Watch Series 5でも自国外では使えないことがある)。

 また、例えば思いっきり強く転倒してしまい身動きがとれなくなった場合に助けを求める「転倒検出」という機能もあるが、これも国内であれば連絡先にGPS位置情報などを送りつつ、救急機関にも同時に連絡をしてくれるが、海外にいる場合は救急機関に電話が通じるだけになる。

 いずれは、国内外に関係なく家族などに連絡が行くのが望ましいが、それでもApple Watchがあってこそ身につけられる安心の価値は高い。

Apple Watch Series 5 Apple Watchを付けて激しく転倒すると画面のようなアラートが表示される

2つのエディションと注目のエルメス黒モデル

 さて、ここまでで紹介した常時表示とコンパス、そして海外における緊急通報が新モデルの機能的な変更だが、これらに加えてSeries 5では、2つのエディションモデル(高級モデル)が登場している。

 一部で人気があった真っ白なセラミック素材のケースが復活したのに加えて、初めてチタニウム素材のケースが2色展開で加わっている。Apple Watchは、常にファッションの一部として身に着けるだけに上質なものを望む人にはうれしいバリエーションだ。もちろん、従来通り軽量なアルミモデルとステンレスモデルも継続して販売される。バンドとの組み合わせによるパッケージ展開は35種類だ。

Apple Watch Series 5 Apple Watch Editionのバリエーションも広がった

 これに加えてApple Watchで毎回魅力的なのがエルメスとのコラボモデルだが、今回も14種類登場した。エルメスコラボモデルとしては、初めて黒いスペースブラックのケースを採用したモデルが用意され、革バンドが黒一色のNoirも人気を呼びそうだ。同時に、Nikeとのコラボモデルも16種類登場している。

 だが、今回何といっても面白いのは、購入時にケースとバンドの組み合わせを自由に選んで、最初からその組み合わせで購入できる「Apple Watch Studio」というサービスだ。Appleの公式サイトから利用できるオンライン版もあれば、全国のApple直営店で実物を組み合わせて選べるサービスも20日から展開され、1000種類以上の本体とバンドの組み合わせを試すことができる。

Apple Watch Series 5 Apple Watch Hermes スペースブラックステンレススチールケースとドゥブルトゥール

 Apple Watchが、通常の腕時計に対して持っている圧倒的なアドバンテージは、時計のバンドを簡単に着脱して他のものに取り替えられることだ。カクテルパーティーに行くとき、アウトドアに向かうとき、泳ぐとき、冠婚葬祭に行くときなど、シチュエーションにあわせてふさわしいバンドをそろえておいて、その日の気分でバンドを取り替えることができ、さらには盤面まで自由に選ぶことができる。

 TPOや気分で、1個の時計が七変化するのだ。

Apple Watch Series 5 好みのバンドを選べる新サービス「Apple Watch Studio」も始まった

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