振り返ってみれば、2019年はAmazon端末の“キッズモデル祭り”の年だったように思う。3月7日発売の8型タブレット「Fire HD 8 キッズモデル」に始まり、6月の7型タブレット「Fire 7」、10月には10.1型タブレット「Fire HD 10」だけでなく、6型の電子書籍端末「Kindle」にもキッズモデルが追加された。
いずれのキッズモデルも、子供が多少乱暴に扱っても本体を傷つけないようにキッズカバーが標準で付属し、子供向けのアプリやビデオ、児童書などを楽しめる「Amazon FreeTime Unlimited」(詳細は後述)を、通常の“大人向け”端末に追加したかのような仕様となっている。
これを大人が購入して使うメリットはあるのだろうか。今回は、Fire HD 10とKindleの各キッズモデルを入手して、細かくチェックした。
まずは、Fire HD 10とFire HD 10 キッズモデル、またKindleとKindle キッズモデルの異なるところをピックアップしておこう。
Fire HD 10でのスペック比較 | ||
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Fire HD 10 | キッズモデル | 通常版 |
本体色 | ブラック | ブラック、ホワイト、ブルー |
内部ストレージ | 32GB | 32GB/64GB |
サイズ(H×W×D) | 292×206×26mm | 262×159×9.8mm |
重量 | 約778g | 約504g |
Kindleでのスペック比較 | ||
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Kindle | キッズモデル | 通常版 |
本体色 | ブラック | ブラック、ホワイト |
内部ストレージ | 8GB | 4GB |
サイズ(H×W×D) | 162×119×14mm | 160×113×8.7mm |
重量 | 約288g | 約174g |
広告 | なし | 広告付き/なし |
興味深いのは、Kindleのキッズモデルと通常版でストレージ容量に差があることだ。Fire HD 10では、通常版が32GBと64GBがあるのに対してキッズモデルは32GB固定なのに、Kindleでは通常版の倍となる8GBとなっているのだ。
これは想像に過ぎないが、Fire HD 10では外部ストレージ(microSDカード)を使えるが、Kindleでは使えない。しかも、子供向けコンテンツはテキスト単体よりイラストなど画像が多い分、データ容量も食ってしまう。だから、外部ストレージを追加できないKindleでは、初めからストレージ容量を倍にしているのではなかろうか。
外観では、キッズモデルの方がカバーがある分だけ大きいし重量も増している。約778gという重量は、子供が手で保持するのに重すぎでは? と心配になるが、室内で床やテーブルの上に、また車の中などで膝の上に載せて使うのであれば問題はないだろう。キッズカバーにあるスタンド機能のおかげで、手で全重量を支える必要がないからだ。
筆者はかなりそそっかしく、いろいろなものを物理的に落としてしまう癖がある。本体をつかんでいるつもりでカバンの上や膝の上から落とす、ヒジやカバンを引っ掛けてテーブルの上から落とす、カバンのチャックが閉まっていなくて落とす……などなどだ。
この前はMacBook Airを銀座の交差点のど真ん中で角から落とし、ヒンジ部分が曲がったときには、かなり“へこんで”しまったこともある。
その点、Fire HD 10およびKindleのキッズモデルはカバーが付属しているので安心だ。しかも、Fire HD 10のキッズカバーは本体の4辺をそれぞれ1.5cmずつ上回る大きさなので、衝撃をしっかりと吸収してくれるに違いない。
一方のKindle キッズモデルは、一般的なフロント付きカバーといった体裁だ。
キッズモデルで安心できるのは、カバーが付いていることだけが理由ではない。アクシデントがあって本体を壊してしまったとしても「2年間の限定保証」で、無償交換してくれるのだ。落下以外でも、牛乳など液体をこぼした、クリームたっぷりのケーキを端末の上に落としてしまった、といった子供(またはそそっかしい大人)特有の事案も対象になる。
これは、Kindleのキッズモデルでも同様で、落としたり、ぬらしたりして本体が壊れてしまったら、Amazonに返却することで期間内は無償交換してくれる。手軽に携帯しやすい端末だからこそ、保証の手厚さは安心感につながることだろう。
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