ここで、Threadripper 3970Xと、コアとスレッドが同数である前世代の「Ryzen Threadripper 2990X」のスペックを比べてみよう。
まず、動作クロックがベース、ブースト(最大)ともに引き上げられている。Socket AM4のRyzenと同様に、製造プロセスが7nmへと移行した効果が大きい。L3キャッシュは64MBから128MBと2倍に増えた。
一方、TDP(熱設計電力)は250Wから280Wへと上昇している。消費電力面で有利な7nmプロセスを採用したものの、動作クロックを引き上げたことやL3キャッシュを増量したこと、CCXとI/Oダイという構造など、さまざまな要因が積み重なって消費電力が増えてしまったものと思われる。
Ryzen ThreadripperはCPUクーラーが別売で、ユーザーが別途調達する必要がある。この点は第3世代になっても変わらない。
TDPの増加は、より強力な冷却機構が必要となることを意味する。280WのCPUを冷却できるという空冷ファンも存在するが、Socket sTRX4/TR4のCPUをサポートするものは少ない。基本的には、簡易水冷以上で、かつ大型のラジエーターを備えるものが選択肢のメインになるだろう。
ちなみに、AMDが用意したThreadripper 3970Xの評価キットでは、NZXTの簡易水冷キット「Kraken X61」が付属する。基本的にはこのクラス以上のCPUクーラーを組み合わせてほしい、という意思表示かもしれない。
第3世代Threadripperに対応するマザーボードは、既に幾つかリリースされている。今の所「E-ATX」など大きめのフォームファクターでEPS12V(電源入力)コネクターを2系統を備えているものばかり。VRM(電圧レギュレータモジュール)の冷却にファンを用いているものも多く、X399チップセットを搭載する従来のマザーボードよりも設計が難しいことを伺わせる。
新しいSocket sTRX4は、見た目的にはSocket TR4と変わりない。しかし、繰り返すが互換性はないので注意しよう。
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