これがApple最新OSの描くニューノーマルだ──WWDC20まとめ登録不要サービス、翻訳、睡眠管理からホームオートメーションまで(2/3 ページ)

» 2020年06月23日 18時00分 公開
[林信行ITmedia]

watchOS 7:睡眠や手洗いをチェックして生活改善

 1人1人の生活そのものを大きく変えてくれそうなのが、Apple Watch用のwatchOS 7だ。コロナ禍の新しい生活習慣に対応して、何と手を洗っている動きを自動的に認識する自動手洗い検出機能も搭載する。十分な手洗いまでの時間を計測し、カウントダウンをしてくれる。

WWDC20 手を洗っていることを手の動きなどから認識する。奨励される時間いっぱいかけて、丁寧な手洗いをしているかをカウントダウンしながら教えてくれる

 生活習慣の点で、もう1つ大きいのが睡眠の記録や補助の機能だろう。

 ベッドに向かうと自動的に「おやすみ」モードをオンにして余計な通知の受信を止め、画面を暗くして、ちょっと腕を動かしても画面が明るくならないようにしてくれる。

 就寝時間が近づいてくると、優しい音で知らせてくれるベッドタイムアラームや、リラグゼーションアプリを起動したり、対応する電球を暗くして眠気を誘ったりする誘眠機能(Wind Down)、天気予報などの情報と共に1日をスタートさせてくれるおはよう機能(アラーム時間より前に目覚めたら、アラームを消すか確認する機能も)、さらには、睡眠中の呼吸など微細な動きも察知して睡眠の質を記録してくれる機能が用意された。

 なお、Appleは睡眠の質では純粋に睡眠時間が大事という学説に基づいてこのアプリを設計しているようで、よくある睡眠の浅い/深いを認識したり、眠りが浅い時間に起こしてくれたりするような機能はない。

WWDC20 睡眠時間を記録して1週間の統計を表示してくれる睡眠アプリ。眠りの深さなどはチェックしないが、微細な動きから眠っている時の呼吸などを検出して睡眠時間を計測。指定した就寝時間に眠りに入りやすくするように促すWind Down機能も用意されている

 この睡眠記録の機能はネット上でも非常に大きな反響があるが、Apple Watchのバッテリー動作時間が18時間ということで、寝ている間に充電する派の人たちからは「充電が切れないか」という不安の声があがっている。

 ただ、Apple Watchは非常に早く充電できるのも特徴の1つだ。例えば、夜寝る前の入浴中の30〜40分、あるいは朝起きてからのシャワーの時間や仕事中に充電をするなどの工夫で、それなりにバッテリーを持たせることが可能ではないだろうか(そもそもSleepアプリは画面が明るくならないし、通知も受け取らないのでバッテリーの減りは少ない)。いずれにしても実際の使用感は、この夏にも提供されるというwatchOS初のパブリックβで明らかになってきそうだ(なお、就寝1時間前にバッテリーが30%を切っていると通知してくれるようだ)。

 「フィットネス」と改名された旧「アクティビティ」アプリでは、新たにダンスやFunctional Strength Training(機能強化トレーニング)、体幹トレーニング、そしてクーリングダウンの4つのアクティビティに対応した。ダンスでスタイルを選ばず、幅広いダンスで腕の動きや身体の移動などを計測して、カロリー消費などを算出してくれる。

 新たにコンプリケーション(追加情報)などを重視した文字盤がいくつか加わり、自分でデザインした文字盤をメッセージなどを使って簡単に他の人と共有したり、App Storeでキュレーションされた文字盤をダウンロードしたりすることも可能になる。マップでは自転車に最適化されたナビが提供されるのも見逃せない。

 ちなみに、iPhone同様にApple WatchでもSiriを使った翻訳が可能になっているので、今後は旅行先でもApple Watchを使って会話をする姿を見かけることが増えるかもしれない。

 なお、基調講演では触れられなかったが、watchOS 7にはヘッドフォンの音量をモニターする機能や、Mobility Metricsという機能も追加されている。前者は例えば80dBの音を40時間聞くと聴力が下がるといった基準がWHOによって示されており、2019年のwatchOS 6からそれを測るアプリが搭載されていた。ただ、アプリはヘッドフォン経由で聞いている音には適応されていなかったが、watchOS 7からは適応される。

 Mobility Metricsは、医療機関が患者の健康状態を確認するためのもので、低レンジカーディオフィットネス、歩行速度、階段降段速度、階段昇段速度、6分間の歩行距離、両脚支持時間、歩幅、歩行非対称性などを調べる機能だ。

tvOS 14とHomeKit:ステイホームを快適にするホームオートメーションの提案

 コロナ禍でステイホームという“新しい日常”が世界に広がったが、ここに対して新たな快適さをもたらしてくれるのが、HomeKitと呼ばれる技術やApple TVを通してつながるIoT機器がもたらす新しいライフスタイルだ。

 HomeKitは、IoT機器を各メーカーが提供するバラバラのアプリを切り替えながら使うという煩わしいやり方を脱して、SiriなどApple製品の標準の方法で使えるようにするという技術だ。業界では、これまでのようにメーカーが好き勝手にバラバラなIoTを作るやり方に見切りをつけ、AppleとGoogle、Amazonの3社を中心にしたProject Connected Home over IPというアライアンスができ、参加するIoT機器メーカーも増えてきている。この規格に対応した機器を通して、Appleは最良の体験の提供を目指す。

 そもそも機器の登録からして簡単で、「探す」ボタンを押すだけで簡単に機器を発見し追加できる。追加する際に「(自分が家に)帰宅したら自動的にオン」、「家を出たら自動的にオフ」などの自動制御をサジェストしてくれる機能もついた。

WWDC20 新しいHomeKitでは、機器を追加/登録するときに、よくある簡単な自動化の機能を追加するかの確認を求められる。面倒な設定不要でいきなり自動化の恩恵を受けることができる

 Appleいわく、IoT機器の中でも、最も成功しているのが色や明るさを変えられるスマート電球とセキュリティカメラだが、この2つについては、特に便利な利用方法が標準機能として提供される。

 1つはスマート電球用のアダプティングライティング(1日のリズムにあわせて光の色や明るさを調整し、健康を促進する機能)だ。朝は暖かい色の光で優しく1日を始め、日中は青みのある光で集中力を向上させ、夜は青みを抜いた光で徐々に眠りへと誘っていく。

 玄関などにしかけるセキュリティカメラでは、画面上の指定エリアに人が入ってきたときにだけ通知をするアクティビティーゾーンや、写真アプリなどで登録した顔情報を元に、相手の顔を認識してHomePodなどから「〜さんが来ましたよ」と声で知らせてくれる顔認識機能も用意される。

WWDC20 セキュリティカメラでは、指定したエリアに人が入ってきた時に通知する機能や、相手の顔を認識して声で誰がきたかを教えてくれる機能を標準で用意
WWDC20 玄関に設置したセキュリティカメラでは、相手の顔を認識して「写真」アプリで登録している人物なら名前を読み上げて誰が来たかを教えてくれる。セキュリティカメラの映像はApple TVでもピクチャ・イン・ピクチャで確認できる

 これらの機能は、例えばApple TVで映像を見ているときにはピクチャ・イン・ピクチャでライブ表示される。

 ピクチャ・イン・ピクチャは、他にも例えばエクササイズアプリの利用中に、ニュースやスポーツ中継のアプリをピクチャ・イン・ピクチャ表示させたり、庭で遊ぶ子供をセキュリティカメラでチェックしたり、iPhoneからAirPlay機能で転送した画面をピクチャ・イン・ピクチャ表示させたりすることも可能だ。

 tvOS 14では、まずはApple Arcadeのゲームからマルチユーザーをサポートし、ユーザー切り替えを行うと、そのユーザーが前回プレイした続きからゲームを楽しめるようになる。「Xbox Elite ワイヤレス コントローラー シリーズ 2」や「Xbox アダプティブ コントローラー」といった、外部コントローラーにも対応する。

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