ここからは、980 PROの実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。
今回は500GBモデル(MZ-V8P500B/IT)を、PCIe 4.0インタフェースを備える「第3世代Ryzenプロセッサ」のシステムでテストした。詳しい内容は別表にまとめている。
また、比較対象として、同システムで970 EVO Plusの500GBモデル(MZ-V7S500B/IT)とCFD販売のPCIe 4.0対応SSD「CSSD-M2B1TPG3VNF」のベンチマークテストも行った。
まず、ひよひよ氏制作の定番ベンチマークテスト「CrystalDiskMark 7.0.0」で基本性能を確認しよう。テストデータのサイズは「1GiB」で実行した。データタイプは標準の「Random」を利用している。
シーケンシャルでは、リードとライト共に公称値に若干及ばないものの、公称値に近い数値を記録した。特にリードでは、PCIe 4.0 x4に対応しているCSSD-M2B1TPG3VNFも“ぶっちぎって”いる。
特筆すべきは、ランダム4Kリードの値だ。毎秒86MBという値は、IOPSに変換すると2万2000となり、公称値と合致する。ライトとは異なり、リードの速度はバッファなどによるごまかしが効きにくい。それだけに、ランダムアクセスではこのアドバンテージは貴重といえる。
続いて、「ATTO Disk Benchmark 4.01」を使ってブロックサイズ別のシーケンシャルリード性能を見てみよう。
980 PROはリード時に256K〜512KBでほぼピーク性能に達し、スコアは毎秒6.41GBが最高となる。公称の毎秒6.9GBよりも若干低いが、それでもCSSD-M2B1TPG3VNFの毎秒5.24GBよりは大幅に良い値だ。
一方、ライト時は64KBが性能的なピークで、スコアはほぼ公称値の毎秒4.94GBとなった。しかし、より大きなサイズではスコアが少し落ち込み、毎秒4.55GBで安定する。これもCSSD-M2B1TPG3VNFのピークスコア(毎秒3.97GB)確実に上回る優秀なスコアとなる。
980 PROとCSSD-M2B1TPG3VNFを比べると、980 PROはリード、ライト共に極小ブロックサイズから大きなブロックサイズまで全域に渡って良いスコアをマークしている点も特筆できる。第6世代V-NANDの素の性能はもちろん、メモリコントローラーも優秀であることが伺いしれる。
次は、「HD Tune Pro 5.75」のTransfer Benchmarkにおいてテストサイズを「200GB」に設定し、980 PROのデータ転送速度の推移を確認してみよう。
シーケンシャルライトに注目すると、開始直後から毎秒4000MB前後で推移している。しかし、転送容量がIntelligent Turbo Write 2.0の最大SLCバッファ容量(94GB)を超えた辺りで転送速度が急落。その後は毎秒800M〜900MBで推移する。これはレビュワーズガイドで公開されているIntelligent Turbo Writeの仕様とほぼ合致する挙動だ。
一方、リードのスコアが“暴れている”ことは気になる。リードテストはライトテストの後で実行されるため、当初はサーマルスロットリング(過剰発熱による性能抑制)を疑ったが、至近距離に追加ファンを設置するなど冷却を強化しても傾向に違いが見られなかった。恐らく、テストとの「相性」に起因する現象だろう。
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