Samsungでは、自社製の3D NANDフラッシュメモリに「V-NAND」というブランドネームを付けている。980 PROでは、第6世代のV-NANDを採用している。先代の第5世代から記録層を増やすことで記録密度を40%増やした他、リード/ライトのレイテンシ(遅延)を10%抑制している。さらに、消費電力も15%削減された。
980 PROでは、メモリコントローラーも新しくなった。新コントローラー「Elpis(エルピス)」では、PCIe 4.0に対応したことに加えてコマンド処理能力も大幅に増強され、従来の4倍にあたる最大128キュー、800万コマンドを同時に扱えるようになった。製造プロセスルールも「14nm」から「8nm」となったことから、電力効率も向上しているという。
コントローラーは、従来と同様にニッケルでコーティングされている。このコーティングには、表面温度を7度引き下げる効果があるとのことだ。
980 PROは、TLC(薄層クロマトグラフィー)3D NANDフラッシュメモリを採用している。そのため、従来のTLC/QLC NANDメモリを採用するSSDと同様に、「Intelligent TurboWrite 2.0」というSLCバッファ技術を導入している。
TLC/QLCメモリには価格が手頃というメリットがある反面、読み書き速度が遅く、耐久性が低い(≒寿命が短い)というデメリットがある。SLCバッファはその欠点をカバーするために考案された技術で、TLC/QLC NANDメモリの一部にSLC(シングルレベルセル)NANDメモリと同じように動作する領域を確保し、その部分をバッファ(キャッシュ)メモリとして活用することで読み書きの速度を向上し、寿命も延ばしている。
SamsungのIntelligent TurboWrite 2.0は、小容量の固定バッファ領域を確保すると共に、必要に応じて可変のバッファ領域を設けられる仕組みとなっている。980 PROのSLCバッファ領域は先代のTLCモデルである970 EVO Plusから大幅に増え、以下の通りとなっている。
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