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» 2020年10月20日 22時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「iPhone 12」「12 Pro」を試して分かった実際の違い 11 Proから写真は大進化 (1/5)

10月23日の販売開始に先駆けて「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」を数日間試用した。iPhone 11からさらに進化したカメラの性能を中心に、実機を使い比べたインプレッションをお届けする。

[本田雅一,ITmedia]

 「iPhone 12」シリーズには、幾つかの意外性があった。一つはiPhone 12 Pro Maxの広角カメラだ。この大画面モデルのみ画素面積を従来より47%拡大した大型センサーを搭載し、しかもセンサーシフト式の手ブレ補正を新たに備えている。

 もう一つは最もサイズが小さいiPhone 12 miniを含め、「12」が名称に付く全てのモデルに高速な「ミリ波」(mmWave:30GHz前後の帯域)対応の5Gモデムを搭載したことだ。ただしこれは米国のみの話。国内での5G対応は、エリアをカバーするのに適した「Sub-6」(6GHz以下の帯域)のみとなる。しかし、将来的には全てのモデルにミリ波対応モデムを搭載するのだろう、と想像はできる。

 そして、これは実際に使ってみて分かったことだが、iPhone 12シリーズは12 Pro Maxに限らず、あれだけ「カメラがすごい」と言われて売れたiPhone 11シリーズと比べても、明確かつ驚くほど大幅に画質が改善されていた。詳しくは後述するが、新SoC(System on a Chip)である「A14 Bionic」の性能も想像以上だ。

iPhone 12 今回試用した「iPhone 12」(左)と「iPhone 12 Pro」(右)。6.1型ディスプレイを搭載したボディーのサイズは同じだが、背面のカメラやシャシーの素材が異なる

 では順を追ってiPhone 12シリーズの実機レビューを書き進めていきたいが、今回は11月発売となるiPhone 12 miniとiPhone 12 Pro Maxは入手できていない。10月発売のiPhone 12とiPhone 12 Proをいち早く試用したインプレッションであることをご承知おきいただきたい。

iPhone 5に背面ガラスを配置して大きくしたようなフォルム

 ここ数年のiPhoneには毎回、その外観の仕上げに感心させられるが、今回もその点で妥協はない。iPhone XS世代で仕上げの品質はほぼ現在のレベルに至ったとは思うが、PVD仕上げのステンレスフレーム(Proのみ)も染色アルミフレーム(Pro以外)のいずれも、プラスチックフレームを中心とした構造の他スマートフォンとは明らかに異なる精度で仕上げられている。

 側面がラウンドではなく垂直に立ち上げられたデザインは、背面のガラスカバーからiPhone 4(2010年)を想起させるが、手にした感触からするとiPhone 5(2012年)に近い。昨今ではiPhone 7(2016年)がiPhone 8(2017年)になったときに背面がガラスになったが、同じようにiPhone 5の背面をガラスカバーに変更した、という印象である。

iPhone 12 iPhone 12は側面が染色アルミフレーム。こちらのカラーはホワイトだ
iPhone 12 Pro iPhone 12 Proは側面に光沢あるステンレスフレームを採用。こちらのカラーはグラファイトだ。iPhone 12にはない望遠カメラが目を引く

 セラミックコーティングが施された画面のカバーガラスは、見た目や感触での違いは分からない。しかし、周囲のフレームとガラス面が同じ高さになったこともあり、Appleがいうように落下時のガラス割れなどには強くなってはいるだろう。

 もっとも、これはiPhone 11以前にラウンドした2.5Dガラスを用いていたことが原因と思われる。iPhone 12シリーズは平面ガラスになり、側面のフレームと同じ高さになった。ガラスへの衝撃が直接加わりにくくなったことは確かだ。

iPhone 12 ディスプレイ側の平面ガラスが周囲のフレームと同じ高さになり、フラットなデザインとなった

想像以上だった「A14 Bionic」の性能

 iPad Airの発表会で従来のA13 Bionicと今回のA14 Bionicについて違いを取材して以来、CPUとGPUの性能はさほど上がっていないのではないかと思っていた。しかし、蓋を開けてみるとかなりの違いがある。

A14 iPhone 12・12 Proが搭載する「A14 Bionic」の主な特徴

 Appleは他のスマートフォンに比べて50%高速と主張しているが、その基準値は分かっていない。特定のSoCを名指ししているわけではないからだ。だが4コアのGPUを含め、Geekbenchのスコアを見る限り極めて高速であることは間違いない。

 台湾のTSMCによる5nmプロセスでの製造もA14 Bionicのよい性能を引き出しているのだろう。2.7GHzから3GHzまで最高クロック周波数が引き上げられ、発熱や消費電力の増加といった副作用を起こすことなくパフォーマンスが上昇している。

Geekbench 1Geekbench 2Geekbench 3 iPhone 12で実行したGeekbenchの結果。左からCPUシングルコア、GPUマルチコア、GPU(Compute)の各スコア。A13 Bionic搭載のiPhone 11はもちろん、GPUスコアはA12X Bionic搭載の第3世代iPad Proも上回る

 しかし、実際のところ、CPU、GPUといった直接的なベンチマークテストが行えるスペック以上に、「Neural Engine」、ISP(Image Signal Processor)、MLアクセラレータといったコンポーネントの性能向上の方が期待以上の結果をもたらしているようだ。

 A14 BionicのNeural Engineは16コア構成、毎秒11兆回の演算性能で、A13 Bionicに比べて80%高速化。MLアクセラレータはA13 Bionicに対して70%高速という数字からも分かる通り、Appleが性能向上に注力している部分だ。

 こうした数字はあらかじめ分かっていたことではあるが、実際にA14 Bionicを用いた実装事例としてiPhone 12・12 Proのカメラを評価すると、想像以上にうまくこの新SoCが機能していることが分かる。

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