キャラクターグッズのスマホアクセサリーにつまらない製品が多い理由 「お布施」に見合った価値はある?牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2020年11月17日 11時00分 公開
[牧ノブユキITmedia]
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 アイドルなどの芸能人、アニメや漫画のキャラクターグッズといえば、ファンならついつい買ってしまう代物だろう。彼らの出演するライブやイベントの会場、映画館、さらにはアニメショップなどに足を運ぶと、こうしたグッズが目白押しだ。「お布施」と称し、毎月かなりの金額を貢いでいる人もいるのではないだろうか。

 こうしたキャラクターグッズの中に、スマートフォンのケースやモバイルバッテリーに代表されるスマホ関連のアクセサリー、またマウスパッドなどのPC関連のアクセサリーが本格的に加わったのは、ここ10年余りのことだ。もっとも、そのラインアップはお世辞にも充実しているとはいえない。例えばスマホケースだと、用意されているのはiPhone 6〜8対応のケースが多く、最新機種への対応は遅れがちだ。

 またキャラクターグッズといっても、その実態は成型色を変更し、絵柄やロゴをプリントしただけで、モノ自体は平凡であることが多い。価格が高いのは仕方ないとしても、長らく愛用するために、絵柄以外の部分でももう少し面白みのあるモノであってほしいと、願っている人も多いのではないだろうか(もちろん、キャラクターグッズとして売られている全てのスマホ・PCアクセサリー製品が該当するわけではないが)。

 「キャラクターグッズだからね、しょうがないよね」と、既に多くの人が諦めているであろうこうした状況は、どのようにして現在の形に至ったのだろうか。今回はこうしたキャラクターグッズ、さらにはこれらに近いノベルティグッズのスマホ・PCアクセサリーについて、製品が生まれるまでの裏事情を見ていこう。

キャラクターグッズ企画の鍵を握る代理店

 キャラクターグッズを作るにあたっては、まず版権元が企画を立て、無地のグッズを扱っている代理店にコンタクトを取る。もっとも実際には、なじみである代理店の側から「そろそろこのキャラクターでこのグッズを作ったら売れるんじゃないですか」と声をかけてくるケースも多く、版権元はそれほど神経質にならなくとも、半ばルーティンワーク的にグッズが上がってくるシステムが構築されている。

 ところでここでざっくりと「代理店」と表現した業者は、実際に工場を持って生産しているわけではなく、さまざまなアイテム、今回でいうとiPhoneのケースを(主に海外の)業者から仕入れ、提案可能なラインアップとしてカタログ化して保有している。スマホ関連に限らず、Tシャツやバッグ、ぬいぐるみ、さらには主力である文具など、アイテムは多種多様だ。

 つまり実態としては商社そのもので、「これがダメならこれ」「それもダメならこれ」と、次々とアイテムを提案してくるわけである。版権元から見た場合、彼らが一切の窓口となっており、彼らがいなければ版権元は何もできない。せいぜい別の代理店に声をかけて相見積を取るくらいだ。

 版権元が、海外業者と直接交渉して製造する方法もあるのでは──と思うかもしれないが、それはまず不可能だ。後述するロット数の問題に加えて、こうしたキャラクターグッズでは版権イラストや写真などのクオリティー面で細かいチェックがある他、納品をイベントに間に合わせなくてはならないなど、ひときわ厳しいスケジュール管理が要求される。

 さらに、倉庫での在庫管理をどうするかといった問題もあり、それら業務を一手に引き受ける代理店が間に入らなければ、版権元だけで対応するのは現実的に不可能だ。多くの場合、海外業者との直接取引など考えたことすらないし、やり方すらも分からないという版権元がほとんどだろう。

国内アクセサリーメーカーのアイテムは条件が合わない

 こうした状況下で起こることは決まっている。それはアイテムの画一化だ。キャラクターグッズを企画するにあたっては、まずは代理店が持っているラインアップから「使える」アイテムがないか探し、大抵はその中で決定されてしまう。どのキャラクターもグッズが画一的になりがちなのは、これが理由だ。

 もっとも近年一般化しつつあるPC・スマホのアクセサリーは、代理店の持つラインアップも十分ではない。それなら専業である国内アクセサリーメーカーと交渉し、それらの製品を仕入れてグッズを作ってもいいのでは、という話が出てきてもおかしくなさそうだが、こうした代理店が国内アクセサリーメーカーにコンタクトを取り、彼らの持つアイテムを仕入れることはまずない。

 なぜなら代理店にとっては、こうした国内アクセサリーメーカーは、立ち位置的にはライバルだからだ。多くの国内アクセサリーメーカーもやはり、海外業者からアイテムを買い付け、自社ブランドとして家電量販店などに流通させているので、販路こそかぶらないものの、やっていることはおおむね同じだからだ。

 もっとも中には、版権元が直接、こうした国内アクセサリーメーカーが自社でデザインしたオリジナル製品を目当てに、コンタクトを取ってくることがある。家電量販店の店頭や雑誌、Webサイトを見て製品に興味を持ち、これをウチのキャラクターと組み合わせれば面白いのでは──というもくろみを持って問い合わせてくるのだが、条件が合うことはほとんどない。

 理由は幾つかあるが、何よりもまず数量の問題だ。国内アクセサリーメーカーは、量販店や法人ルートを対象とした月産何万個レベルでの生産計画があり、それらを計画通りに作っているだけでそこそこの売り上げが見込める。それらを変更してまで、単発で1万個、下手をすると千個といった極小のロットを、パッケージだけならまだしも成型色を変えたり、キャラクターやロゴを印刷したりしてまで製造するのは、あらゆる点でコストが合わない。

 そのためアクセサリーメーカーは「こんなショボい数で作れるわけないだろう」とばかりに高額な見積を出し、版権元は「えっ何、このあり得ない金額は。お断りされているのかな」と見積を破り捨て、うやむやのままになるのがお決まりの流れだ。中には版権元からの依頼で代理店が(嫌々ながらに)コンタクトを取ってくる場合もあるが、その場合は代理店の手数料が必要になることから、商談はさらにまとまりにくくなる。

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