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2021年のWindows 10とPCの関係Windowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2020年12月02日 12時00分 公開

 米国では感謝祭(Thanksgiving)も終わり、既にホリデーシーズンの時期に突入しているが、新型コロナウイルスの影響もあって例年に比べて商戦は分散した。都市部はロックダウンされているといった事情もあり、2020年の出足は非常に緩やかとされている。商戦期におけるPC市場の行方が分かるのはもう少し先だが、今回はWindowsとPCが2021年にどうなるかを一足先に見てみたい。

「October 2020 Update(20H2)」のシェアは順調に伸びる

 2021年の話題に入る前に、まずは現状のWindowsの話題から入っていこう。恒例のAdDuplex Reportの最新版にあたる11月版がリリースされており、同月末時点での最新のWindows 10のバージョン別シェアがまとめられている。

 前回のレポートとの差分を比べていただきたいが、なぜか「November 2019 Update(1909)」のシェアが36.4%と大幅に回復する一方で、「May 2020 Update(2004)」は37.6%とほぼ横ばいになっている。最も増えたのは「October 2020 Update(20H2)」で、前回の1.7%から8.8%と一気にシェアを伸ばしており、このペースでいけば前回記事で予測した「2020年内に10%台半ば」のシェアまで獲得するのはほぼ確実とみられる。

Windows 10のバージョン別シェア 2020年11月末時点のWindows 10のバージョン別シェア(出典:AdDuplex)

 May 2020 Update(2004)は最初期の立ち上がりに時間がかかった反面、一度ロールアウトされると「May 2019 Update(1903)」以降の上昇カーブとほぼ同等のペースでシェアを拡大させている。

 AdDuplexのレポートでも触れられているが、October 2020 Update(20H2)は10月後半の一般向けリリースから既にこの上昇ペースにならっており、割とスムーズな移行を実現できると考えられる。

 なお、Neowinによれば、November 2019 Update(1909)のシェアが11月のタイミングで急拡大した理由は、May 2019 Update(1903)からの強制アップデートがMicrosoftによって実施された結果だという。

Windows 10のバージョン別シェア Windows 10のバージョン別シェアの推移(出典:AdDuplex)

 問題となるのは、こうした流れの中で次の「21H1」となる大型アップデートがどのような形で出てくるかだが、「21H1は実質的にスルーの扱いとなり小規模なアップデートに留まる」「21H1に新製品が発表される」という風に関係各位で見解が異なっている。

 前者については、以前の「Microsoftが2021年秋を見込むWindowsの一大プロジェクト『Sun Valley』と『Cobalt』」というレポートでも触れた、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏による「『21H2』として2021年後半に登場する『Iron』リリースに注力するために『21H1』は簡略化される」というものだ。

 一方で、記事中の「Sun Valley」というプロジェクトについて何度か報じているWindows Centralのザック・ボーデン氏は「2021 is shaping up to be a big year for Windows 10」という記事の中で次のように触れており、シングルスクリーン版の「Windows 10X」が2021年春に出る可能性を示唆している。

It's fair to say that if Microsoft keeps to its internal schedules and plans, Windows 10 is in for a big year next year. Perhaps it'll be one of the biggest in recent memory, with a new version launching with Windows 10X in the spring of 2021, and a massive refocus on Windows 10 in the fall of 2021. Fans have been asking for this for a while, and it appears Microsoft is listening.

 一般の多くのユーザーにはWindows 10Xよりも、21H1に相当する大型アップデートがどのようなもので、どのようなタイミングで配信されるかが気になる点だと思う。オリジナルのWindows 10そのものは21H1で大きな手が加わることは、ボーデン氏とジョー・フォリー氏の両氏ともに予想していないため、アップデートのペース的にはOctober 2020 Update(20H2)に近いものになるのではないかと筆者は考える。

帰ってきた「Project Astoria」

 皆さんは、「Project Astoria」を憶えているだろうか?

 2015年のBuild 2015で発表された、MicrosoftのUWP向けの開発プラットフォーム構想で、いわゆる「モダンアプリ」に留まらず、AndroidからiOS、さらには旧Win32アプリケーションまで含めてUWPとしてパッケージ化してMicrosoft Store(当時はWindows Store)でのアプリ配布を可能にするというものだ。

 詳細は当時のレポートを参照してほしいが、AndroidアプリをWindows 10上に構築されたサブシステム上でそのまま動作させる「Project Astoria」、iOSと互換APIを用意してUWPとしてのビルドが可能な「Project Islandwood」、そしてWin32アプリをパッケージ化してUWPとして配布させる「Project Centennial」だ。

 結局のところ、Project Centennialが完全な形ではないものの提供され、Project AstoriaとProject Islandwoodは中止(Project Islandwoodについては、中止発表のタイミングでオープンソース化が行われている)、実際に提供されたのはWebアプリケーションをUWPアプリ化する「Project Westminster」のみという状況だった。

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