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» 2020年12月08日 07時30分 公開

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:突然“売れなくなった”PC周辺機器やサプライ用品の裏で何が起こったのか (1/2)

PCやスマホの周辺機器およびアクセサリーが売れなくなる原因のほとんどは、本体機器の終息だが、中には規格の変更やトレンドの移り変わりによって、複数の製品で利用できた周辺機器やアクセサリーが、突如パタリと売れなくなることがある。メーカーにとって予測できずダメージが大きいこうした事例についてみていこう。

[牧ノブユキ,ITmedia]
work around

 PCやスマートフォンの周辺機器およびアクセサリーが売れなくなる原因のほとんどは、本体機器の終息だ。例えばスマホケースであれば、該当のスマホが販売終了になった時点で、これ以上新規に出荷されることはまずない。それ以前に、スマホケースが売れるのはほとんどが購入時点なので、それ以降は在庫を絞っていけば、それほどメーカーもダメージはない。

 一方、規格の変更などにより、複数の製品で共通して使われていた周辺機器が使えなくなるのは、単純にモデルチェンジのタイミングからは見抜くことができず、また影響も広範囲で、メーカーとしてはダメージは大きい。例えばiPhoneやiPadでは、かつてのDockコネクターがLightningコネクターに切り替わったときに、それ以前のDockコネクターを採用した全ての周辺機器が使えなくなったことは記憶に新しい。

 今回はこうした、カテゴリー丸ごと突然売れなくなった製品について、ここ四半世紀にあった事例を3つ紹介する。前回の「突然売れ始めたPC周辺機器やサプライ用品」の対となる話なので、まだ未読という場合、併せて一読いただけると幸いだ。

iPhone 5登場で壊滅したイヤフォンジャックアクセサリー

 市場が立ち上がりつつあったのに、ある本体機器のモデルチェンジによって市場ごと壊滅状態へと追い込まれたのが、イヤフォンジャックアクセサリーだ。ほんの数年前の事例なので、製品が売場に並んでいたのを覚えている人もいるだろう。

 イヤフォンジャックアクセサリーとは、動物などのミニフィギュアがついたプラスチック製のダミー端子だ。これをスマホのイヤフォンジャックに差し込むことで、ほこりや水滴の侵入を防止しつつ、スマホにフィギュアを取り付けられるという、実用性とファッション性を兼ね備えた一品だ。

 当時ガラケーからの移行期にあったスマホの買い替え需要に乗れば、相当な数が売れる可能性があり、事実SNSでも盛んに取り上げられ、評判も(特に女性に)よかった。先行して展開していたアクセサリーメーカー以外にも、何社かが参入の動きを見せており、量販店店頭でもコーナーができつつあったほどだ。

 風向きががらりと変わったのが、2012年の「iPhone 5」の登場だ。iPhone 4S以前は、イヤフォンジャックは本体の上面に搭載されており、他社のスマホもおおむね同様の状況にあった。それ故にこうしたアクセサリーを差し込み、ほこりや水滴の侵入を防ぎつつ、装飾としてキャラクターを見せることが可能だった。

 ところがiPhone 5では、そのイヤフォンジャック自体が、本体の底面に移動してしまい、イヤフォンジャックアクセサリーの存在意義そのものが完全に失われてしまった。Androidは依然として本体上部にイヤフォンジャックを備えたモデルが多かったが、なにせシェアが最も大きい製品が非対応になったのだからたまらない。

 こうしたことから、当時量販店への導入が続いていたイヤフォンジャックアクセサリーは急激に勢いを失い、メーカーは既存製品の生産を中止。新規製品の企画もパッタリ途絶え、今では店頭ではその痕跡はほぼ残っていない。はしごを外されたとはまさにこのことだろう。

 量販店にとっても、客単価のアップが期待できるグッズとして期待は大きかったが、製品の何気ない仕様変更が、市場そのものを丸ごと吹っ飛ばすという、典型的な事例となってしまった。もっともご存じのように、近年のスマホはイヤフォンジャックそのものが非搭載になりつつあり、仮に当時延命できていても、持ったのは数年程度だっただろう。

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