ASUSの360Hz液晶ディスプレイ「ROG Swift 360Hz PG259QNR」でシステム遅延を可視化してみたNVIDIA Reflex Latency Analyzer内蔵(2/3 ページ)

» 2020年12月08日 12時00分 公開
[作倉瑞歩ITmedia]

「Reflex Latency Analyzer」を実際に試してみる

 Reflex Latency Analyzerを使用するには、まずPCに接続した状態でOSDメニューの「G-SYNC Processor」から「NVIDIA Reflex Latency Analyzer」を選択し、「PC+Display Latency」と「Show Monitoring Rectangle」を有効化する。また、対応したマウスをディスプレイの赤いUSBハブに接続する必要がある。

 このマウスでクリックした信号が、ディスプレイに届いた時間からディスプレイに描画されるまでの時間を、ディスプレイ内蔵のチップが測定する仕組みで、Performance Overlayに数値化して表示される。

ROG Swift OSDメニューでの設定画面

 また、PC側で「GeForce Experience」の「実験的機能を有効にします」にチェックを入れ、オーバーレイメニューの歯車マーク(設定)から「HUD」の項目で「パフォーマンス」を有効にしておく。これでReflex Latency Analyzerの準備が整う。

ROG Swift オーバーレイを有効にした状態

 Reflex Latency Analyzerは、マウスのクリックと映像の変化から遅延を計測している。例えばVALORANTであれば、クリックして射撃すると銃口から発砲炎が吹き上がるため、このクリックから発砲炎の表示までにかかった時間を計測している。

 この機能は、ゲーム中に遅延が最短になるよう突き詰めていくものというより、現在使用しているディスプレイとPC、そしてマウスの組み合わせでどれだけ遅延があるかを把握し、対戦中の行動に反映するためのものに感じる。10数ミリ秒の違いは感じ取りにくいものだが、そういったわずかな違いも気になるコアプレイヤー向けの機能だ。

 今回はVALORANTで、リフレッシュレート240Hz、360Hzの両方を「Reflex」機能を「オフ」「オン」「オン+ブースト」で検証した。使用したマウスは「ROG Chakram Core」で、結果は次の通りだ。

ROG Swift 利用した「ROG Chakram Core」。AURA Syncに対応したUSB接続のマウスで、側面にジョイスティックを備えたゲーマー仕様に仕上がっている
ROG Swift 240Hzでの遅延速度
ROG Swift 360Hzでの遅延速度

 「オフ」「オン」「オン+ブースト」の順に、データ上では遅延が減少していることが分かる。もし遅延速度が気になるようであれば、今回のように対応製品を使用してみるといいだろう。とはいえ、コンマ数ミリ秒の遅延の違いは感覚的にも肉眼でも捉えづらく、何がどれだけ遅延しているのかは体感できなかった。

 Reflex Latency Analyzerに対応しているマウスはROG Chakram Coreの他、ロジクールの「PRO Wireless Gaming Mouse」やRazerの「DeathAdder V2 Pro」、SteelSeriesの「Rival 3」といった製品がサポートしており、今後順次追加されていくとNVIDIAは発表している。

滑らかな映像表示はゲームプレイにも有用

 実際にVALORANTをプレイして、その実力を確かめてみよう。

 VALORANTは、比較的スペックが低めのPCでも300fps以上のフレームレートでプレイでき、ゲーミングディスプレイの持つ高いリフレッシュレートを体感しやすいタイトルだ。今回は60Hz、120Hz、144Hz、240Hz、360Hzにリフレッシュレートを設定し、960fpsの20倍スロー映像でディスプレイを撮影した。

60Hzでのスパイク設置。コマ飛びをしているような状態が確認できる
120Hzでのスパイク設置
144Hzでのスパイク設置
240Hzでのスパイク設置
360Hzでのスパイク設置。非常に滑らかに見える
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 PG259QNRの持ち味である360Hzでの表示は、非常に滑らかだ。カメラを激しく動かす場面でも、カクつきやチラつきなく滑らかな映像でゲームを楽しめる。高いフレームレートに慣れると、60Hzでの表示は非常に粗く見えてしまう。映像表示の速さはそのままゲームで有利に働くため、リフレッシュレートは高いほどよいだろう。PG259QNRの応答速度はGtoGで1msと映像の切り替えにかかる時間が非常に短いため、360Hzの表示にも問題なく追いついている。

 実際にスロー映像を見てみると、リフレッシュレートを落とすにつれて映像にカクつきが現れていることが分かる。特に60Hzでは、コマ飛びをしているようにも見えてしまう。

ROG Swift 60Hz表示で映像が追いついていなかった部分

 先ほど述べた「Reflex」の効果もリフレッシュレートが高い状態の方が有用だ。実際のデータでも240Hzでの表示より360Hzで表示した方が遅延が少ない結果となったため、リフレッシュレートを高くしない手はない。

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