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» 2020年12月10日 06時00分 公開

Appleがヘッドフォンの極限を目指すとどうなるのか? 「AirPods Max」への期待 (1/3)

Appleが12月8日に発表したオーバーイヤータイプのヘッドフォン「AirPods Max」。同社が目指した“Max”は何なのか。12月15日の発売を前に、林信行氏が考察した。

[林信行,ITmedia]

Max【名詞・形容詞】《maximumの略》最大。最大限。極限。

 12月8日の夜、Appleから突如、製品名にこの3文字を冠したオーバーヘッド型ヘッドフォンが発表された。その名も「AirPods Max」だ。発売は12月15日で実機はまだ入手できていないが、いくつか集まってきた情報を元に、現時点で分かることを整理したい。

AirPods Max 突如発表された「AirPods Max」。発売は12月15日からだ

 「Max」という製品名や税別6万1800円という価格を見れば分かる通り、AirPods Maxは万人向けのものではない。今のAppleができる「最善」を尽くせば、どんな物が作れるのかを示した製品だ。同じAppleからは、もっとリーズナブルなAirPods(同1万7800円)やAirPods Pro(同2万7800円)、オーバーヘッド型でもApple傘下のBeatsブランドからBeats Soloなど多彩なヘッドフォンが発売されている。

 だが、この製品は6万円超えの決して安価とは言えないヘッドフォンだ。Appleにとって、現在の“Max”を尽くしたヘッドフォン。いったいどんなものなのか楽しみではないか。

今できるヘッドフォンデザインの極限

 情報を整理していくと、この製品は「見た目」や「つけ心地」、つまり視覚と触覚も含めたプロダクトデザイン、「音質」を含めた音の体験、つまり聴覚の3つベクトルで現在のAppleのMaxを尽くしているようだ。

 まずはデザインから見ていこう。

 何と言ってもシンボリックなのは、5色のバリエーションが用意されたアルミのイヤーカップだ。使う人の耳にフィットする、形状記憶の緩衝用クッション(交換可能)がマグネットで吸着。クッションの内側は、どちらの耳用かが分かるように大きな文字で記されたニットメッシュでスピーカーグリルをカバーしている。

AirPods Max スペースグレイ、スカイブルー、グリーン、ピンク、シルバーと全5色を用意する。まるで、新型iPad Airのカラーバリエーションにそろえているかのようだ
AirPods Max イヤークッションの内部にLとRの文字が見える

 右耳用イヤーカップの上面には、Apple Watchのそれと良く似た竜頭のDigital Crownが配置されている。これを右手の親指で回して音量を調整したり、曲送りやSiriの呼び出しをしたりするようだ。

 反対側にはボタンが付いているが、これはノイズキャンセル機能のオン/オフボタンだ。オフにして外部音の取り込みモードにした時は、まるでヘッドフォンを装着していないかのように曇りも遅れもなく外部の音が耳に届き、スイッチをオンにするとその音がスーッと消えていく仕様はAirPod Proと同じようだが、同社が「Max」を尽くしたという本製品で、ノイズキャンセルと外部音取り込みモードの質が、どの程度向上したかは気になるところだ。

 イヤーカップの中央には、望遠鏡のように伸びるステンレスのテレスコーピング・アームが取り付けられている。どのように取り付けられているかは実物がないので確認できないが、初めて液晶ディスプレイを採用したiMac、iMac G4のネックに似ている印象だ。イヤーカップが自由自在に、どの向きにでも調整できて耳にフィットするようだ。

AirPods Max 耳が当たる部分にはイヤークッションがあり、竜頭のDigital Crownやノイズコントロールボタンが右耳側に用意されている。

 その上にはステンレス製のヘッドバンドが伸びているが、肌に触れたときに心地よいように製品色のソフトな素材でコーティングされているように見える。左右のヘッドバンドをつなぐのはニットのキャノピーで、製品に伸縮性と柔軟性を与えるだけでなく、メッシュ状にして通気性をよくすることで、長時間の装着で生じるムレなどを防ぐ狙いもあるようだ。

 この辺りは、Apple Watchの開発でウェアラブル、つまり身にまとう製品にも手を出した同社が、この数年間、素材選びも含めて技術を磨いてきた部分である。

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