2021年のパソコンはどう進化する? 注目はやはりApple、Intel、Microsoftのプラットフォーム変革本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)

» 2021年01月03日 15時30分 公開
[本田雅一ITmedia]
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Apple M1の次はIntel外部GPUがヒントに?

 Appleの選択肢は幾つかある。

 まずノート型の範囲内で考えるならば、そのままM1を使いつつ、外部にM1と協調動作するGPUを開発することだ。13インチMacBook Proの上位モデルまでならば、これで十分かもしれない。

 IntelはTiger Lakeにおいて、内蔵するXeグラフィックスと同等設計の独立型GPUを用意し、統合されているXeグラフィックスと併用する「Iris Xe MAX Graphics」という提案を行っている。

Iris Xe MAX IntelのノートPC向け外部GPU「Iris Xe MAX Graphics」のチップイメージ

 しかし16インチMacBook Proとなれば、メモリの拡張性も求められる。CPU性能に関しても、さらに多くのコアを搭載する上位モデルが欲しいという声があっても不思議ではない。

 例えば、M1の内部回路を再構成し内蔵GPUを省略(あるいはコア数を減らすなど簡素化)して、その分、CPUコアを増加させるというやり方もあるだろう。あるいは、GPUを外部に逃したM1の変形バージョンをデュアル搭載という道もゼロではなさそうだ。

 しかし、将来的なスケールアップの可能性も考えるならば、I/OコントローラーとGPUをCPUダイから独立させた上で同一パッケージ内で共存させるような構成をとるかもしれない。この場合、DRAMはパッケージ外に持つことになるが、たとえDDR5を間に合わせたとしても、帯域的にはやや無理がある。

 両方のダイで共有するキャッシュを持たせることでメモリ帯域の問題を緩和する、といったこともあるのではないだろうか。この辺りは、AMDの動向もヒントになるかもしれない。

 歩留まりという面では、半導体ダイ単位で考えればよく、必要に応じてパッケージに組み込むダイの数、種類などで性能と価格が決まるという構成は、「Mac専用」と考えるならば、さほど複雑にはならないはずだ。

Arm版Windowsは外販されるのか

 ところでハードウェアの話ではないが、「Windows on Arm」、つまりArm版のWindowsが外販されるかどうかについて、Microsoftがどう判断するかにも注目している。PCベンダーに対してのライセンスは行うと予想しているが、一般向けにライセンス、バイナリの配布を始めれば、M1搭載MacでもWindowsを動かすことが可能になる。

Windows on Arm MicrosoftによるSurface Pro XでArm版Windowsを動かしているイメージ。32bitのx86アプリはエミュレーションで動作する(x64エミュレーションは開発中)

 また、Arm版Windowsが自由にライセンスされるならば、より幅広い市場に広がっていく可能性すらある。何が利点かといえば、それは現時点では消費電力ということになるだろうが、昨今の事情を考えるならば、実はそこにこそ最も大きな価値があるともいえる。

 もっとも、Intelが手をこまねいて見ているはずもない、とも思う。M1はMacにしか搭載されないため、Windows PCに広く採用されているIntelのライバルではないという見方もできるが、しかし比較される対象ではある上、Windowsもより多くのArm搭載機で動くようになればPC業界の巨人であるIntelも無視はできない。

 Arm版Windowsが外販とまではいかなくとも、OEM版ライセンスをユーザーが気軽に入手できるなんてことを想定していないとは思わない。つまり、何らかの手立ては施すのではないだろうか。

 Intelの7nmプロセス立ち上げは2022年以降を予定しているようだが、それまでの間に何が彼らにできるのか。注意深く見守りたい。

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