外付けだけど爆速! 「Xbox Series X|S 用 Seagate ストレージ拡張カード」を使ってみた次世代ストレージをチェック(2/2 ページ)

» 2021年03月26日 12時00分 公開
[作倉瑞歩ITmedia]
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Xbox Velocityアーキテクチャでゲームを高速動作

 新型Xboxを持っている人ならご存じだと思うが、Xbox Series X/Sには「Xbox Velocityアーキテクチャ」という技術が用いられている。

 Xbox Velocityアーキテクチャは、以下の4つの要素で構成される。

  • 独自仕様のNVMe SSD
  • ハードウエアベースでの解凍技術
  • DirectStorage API
  • サンプラー・フィードバック・ストリーミング

 まず独自仕様のNVMe SSDだが、Xbox Series X/Sの内蔵SSDは、I/Oスループットが前世代のXbox Oneの40倍になるという。一定レベル以上のパフォーマンスを保てるようになっているので、データ転送量に捕らわれずにゲームデザインができる。

 またXbox Series X/Sでは、ゲーム開発で広く使われているデータ展開アルゴリズムの「LZ」の他、テクスチャデータ用に特別に設計されたBCPackの両方をハードウエア上でアクセラレーションするため、これらを並行させて使えばゲームサイズを小さくすることができるという。圧縮率を2分の1とすると、Xbox Series X/Sでは毎秒4.8GBのパフォーマンスとなり、前世代の約100倍になる。

 Direct Xに新しく用意されるDirectStorageだが、これを用いると開発者がI/Oタスクの優先順位を管理することができるようになる。このため、DirectStorageを使うと読み出し時間を最小化でき、ファストトラベルなどの時にもローディングが高速化される。

 最後のサンプラー・フィードバック・ストリーミングだが、これはテクスチャの品質にかかわるものだ。今ある多くのゲームでは、プレーヤーの視点から遠く離れているものについては省略した表現を使い、手前になるに従って高品質なものになるよう設計されており、プレーヤーからどれだけ離れているかに関係なくテクスチャ全体をロードしている。

 しかしXbox Series X/Sでは、サンプラー・フィードバック・ストリーミングにより、テクスチャの一部だけをロードすることが可能だ。これによってデータの読み出し量が削減され、空いた分をその他の書き込みに使えるため、全体的にリッチなゲーム世界をデザインできるようになるのだという。

 Xbox Velocityアーキテクチャについては、その効果を全て紹介するのは難しいが、これらにより内蔵SSDが高速化されているので、内蔵SSDと外部ストレージによる読み出し速度を試すことは可能だ。

 そこで「バトルフィールドV」(容量約82GB)の起動時間と、「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」(約43.4GB)、「Forza Horizen 4」(約83.8GB)のファイル移動速度を、シーゲイトのUSB接続HDD「Ultra Touch HDD」(2TB)とSSD「Ultra Touch SSD」(1TB)を使って、ストレージ拡張カードとのスピードを比較してみたい。

外付けSSDやHDDともスピードを比較

 まずは外付けHDDとSSDをPCに接続して、CrystalDiskMarkによるテストを行った。その結果が以下の通りだ。

Seagate ストレージ拡張カード Ultra Touch HDDの結果
Seagate ストレージ拡張カード Ultra Touch SSDの結果

 結果を見ると分かるが、よくあるSATA接続のストレージがたたき出す値で、それぞれ公称値(HDDが毎秒120MB、SSDが毎秒400MB)を上回る結果となった。これを基本として転送速度を確かめてみよう。バトルフィールドVの起動時間については、ゲームを選択した後、ロゴ関係のスプラッシュスクリーンが表示され、「ユーザーを選択」という表示が出るまでの時間を計測した。結果は以下の通りだ。

Seagate ストレージ拡張カード 起動速度の比較結果

 結果を見ると明らかだが、ストレージ拡張カードの起動速度は内蔵SSDとほぼ同じであるのに加え、SSDやHDDよりも高速な値となっており、日本マイクロソフトが言うような、Xbox Velocityアーキテクチャの効果が出ているように見える。

 続いては、内蔵SSDからエースコンバット7とForza Horizen 4をコピーした時間について見ていこう。結果は以下の通りだ。

Seagate ストレージ拡張カード ファイル移動速度

 スコアを見ても分かるように、ストレージ拡張カードの転送速度は外部ストレージよりもかなり高速な値となっており、その速さが分かる。ただし両タイトルともUltra Touch SSDよりもUltra Touch HDDの方が速く終わっている。これは数回繰り返しても同じような値なので、結果を受け入れるしかないが、ファイルサイズの大きいデータのやりとりなので、キャッシュ不足が原因のように思える。いずれにしても、約43GBのデータを1分足らずで移動できるストレージ拡張カードは素晴らしいといえるだろう。

価格は高めだが新型Xboxユーザーなら手に入れておきたいアイテム

 ここまで見てきたように、ストレージ拡張カードは、Xbox Series X/Sのストレージ容量を拡大してくれるだけでなく、USBの外付けドライブよりも高速な動作が期待でき、Xbox SeriesX/Sをより楽しむためにはそろえておきたいデバイスだ。保証期間も3年間と長い。

 ただしネックとなるのが価格で、原稿執筆時のAmazonでの販売価格は税込み3万291円と、1TBのストレージとしては高価だ。この価格をどのように見るか次第ではあるが、高速動作のストレージ容量が増加して、気軽にゲームを持ち歩けるようになることを考えると、新型Xboxユーザーなら持っていて損はない、むしろ手に入れると幸せになれるアイテムだと言えよう。

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