移行作業が終わったら、電源ボタンを押して起動し、ブラウザを使って設定画面を開いてみる。前回もそうだったが、本体を換装しただけで、内部のシステムには一切手を付けていないので、従来と同じURLにアクセスして同じユーザー名とパスワードを入力すればログインできる。もちろん、保存されているファイルにも影響はない。
やらなければいけないのは、ネットワーク共有におけるデバイス名を、新しいモデル名に書き換えなくてはいけないことくらいだ。それすらも変更がなければ、Windows上でネットワークドライブとして登録されていても、そのまま利用できてしまう。後はWake on LANの設定を行っている場合に、MACアドレスを変更することくらいだ。
前回の繰り返しになるが、同社の他にASUSTORやSynologyなど、システムをドライブに直接インストールして使うタイプのNASは、このようなドライブの載せ替えに対応する。国内メーカーのNASの多くはこの方式が使えず(というよりもドライブなしモデルがほとんど用意されていない)、上位モデルへの移行はまるごと買い替えとなるだけに、本製品の仕組みは手軽でよい。
さてスループットはどうだろうか。前回と同様に、本製品との通信経路にあるノートPCのネットワークカードやハブはギガビット対応のままなので、普通に考えて高速化は見込めない。
とはいえCrystalDiskMarkを使って測定すると、ランダムアクセスの読み書き速度がそこそこ向上しているのが分かる。2.5GbEならではのスループットとは到底言えないが、多少なりとも恩恵は受けているようだ。誤差レベルだった前回のASUSTOR製品とは明らかに違う。
ちなみに移行前のTS-251+は、メモリを8GBに増設してあるのに対して、本製品はオンボードの4GBのままなので、メモリが半分でありながら速度が同等かやや上であることは、本製品のポテンシャルの高さを感じる。ちなみに、CPUは4コア4スレッドのCeleron J1900(2.0GHz〜2.42GHz)→Celeron J4125(2.0GHz〜2.7GHz)になっている。今後、メモリ回りを強化することがあれば、その結果もレポートしたい。
ところでこのTS-253Dは、背面にLow ProfileのPCIeスロット(Gen 2x4)が追加されているのが特徴だ。これを使えば、2.5GbEをさらに上位の5GbEや10GbE対応ネットワークカードを追加したり、キャッシュ用のM.2 NVMeやSATA SSDを追加したりすることもできる。現状、ギガビット環境であることを考えると途方もない世界だが、このような拡張性の高さは大きな魅力だ。
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