Microsoftは6月28日(米国太平洋夏時間)、Windows Insider Programの開発チャンネル(Dev Channel)において「Windows 11」のInsider Previewの配信を開始した。今回配信されるビルド番号(内部バージョン)は「22000.51」で、新しいユーザーインタフェース(UI)など主要な新機能は一通り試せるようになっているようだ。
合わせて、同社はこのInsider Preview版において、現在提示されているシステム要件の一部を“緩和”していることも明らかにした。製品版のリリースに向けて、将来を見越して要件を検討することが目的だ。
Insider Preview版において緩和されている要件は以下の通りだ。
Windows 11では、1GHz以上で稼働する2コア以上の64bit CPU/SoCが最低要件となっている。ただし、具体的な要件は別途定めており、デスクトップ/モバイル向けCPU/SoCでは第8世代以降のCoreプロセッサとZen+アーキテクチャ以降を採用するRyzenプロセッサを必須としている。
しかし、Insider Preview版では、第7世代CoreプロセッサやZenアーキテクチャのRyzenプロセッサ(初代)でも稼働するようになっている。Microsoftも、OEM(PCメーカー)と協力して両プロセッサにおける稼働テストを進め、その結果を公表するという。
結果によっては、動作に必要なCPU/SoCに見直しが掛かる可能性がある。
Windows 11では、PC/タブレットに「TPM 2.0」準拠のTPM(セキュリティチップ)を搭載することと、Secure Boot(セキュアブート)を有効化したUEFIによる起動が必須となっている。
これらの要件は、PC/タブレットのセキュリティ対策の一環だ。Microsoftによると、TPM 2.0チップの搭載、それに基づくデバイス暗号化、VBS(仮想化ベースのセキュリティ)、HVCI(ハイパーバイザーによるコードの一貫性チェック)、そしてSecure Bootの有効化によってマルウェアの活動を60%減らせたという。
Windows 11の要件を満たすCPU/SoCは、自らがTPM 2.0チップとして動作する「ファームウェアTPM(fTPM)」と呼ばれる機能に対応している。しかし、チップセットやUEFI(ファームウェア)にも対応が求められるため、システム構成によってはfTPMを有効化できない可能性がある。
そのこともあってか、Insider Preview版ではTPM 2.0チップ(fTPMによる対応を含む)の搭載を必須としていない。
Windows 11の発表に合わせて、MicrosoftはPC/タブレットが同OSの動作要件を満たしているかどうかをチェックするアプリ「PC正常性チェック(PC Health Check)」を公開していた。
その初期バージョンは“なぜ”動作しないのか表示しない仕様だったため、アップデートを実施して理由を表示できるように改修された。しかし、日本語では理由が表示されないままとなるなど、チェックツールとして“不十分”であることに変わりはなかった。
同社はこのアプリに関する準備不足を認め、Insider Preview版へのフィードバックに集中するためにPC正常性チェックの公開を一時見合わせている。秋の製品版リリース前までに、再度公開する予定だという。
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