Windows 10が「最後のバージョン」を撤回した理由 Windows 11は何が違うのか本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)

» 2021年07月14日 11時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
前のページへ 1|2       

大幅な動作環境の条件変更が必要なら……

 Windows 10が2015年から続いてきたように、ここで大きくWindowsを更新すれば、かなり長い間使われ続けるプラットフォームになっていくだろう。

 そこでMicrosoftは(視点次第だが)、Windows 95で導入したスタートボタンから始まる操作体系を見直し、Windows 8で破綻しかけたタッチパネル対応からの矛盾を整理することにした。

 開発が中止されたWindows 10X向けに設計されていた新しいユーザーインタフェースをここで導入したのは、過去からの呪縛を断ち切るためにはこのタイミングが適切だからだと考えたからだろう。

 といっても、拙速に新しい作法を導入しようというのではない。何年にもわたって開発してきた成果を、このタイミングで投入したという理解が正しいと思う。

 Windows 11はデスクトップ下部にセンタリングされたスタートボタンを配置。「なんだスタートボタンの位置が変化しただけか」と思うだろうが、同じなのは名前だけと言ってもいい。スタートメニューとタスクバーまわりの大きな変更は、Windows 95時代との決別とも言える。

Windows 11 スタートボタンを中心に据えたWindows 11の新しいデスクトップ。Microsoft Teamsのチャットがタスクバーに統合されている

 新しいユーザーインタフェースは、従来の操作イメージから大きく乖離(かいり)しないよう配慮しつつも、タッチパネルとマウス、両方からの操作およびPCだけではない多様なデバイスに配慮されたデザインになっている。

 マウス以外での操作やPC以外のスクリーンでの操作感を意識していると感じる部分は随所にあるが、ウィンドウを幾つかの分割レイアウトで自動的に配列する機能など、従来の操作方法による自由度の高いウィンドウ配置とシンプルな操作感の両立を狙ったアイデアが幾つも盛り込まれている。

Windows 11 ウィンドウの分割レイアウトはより柔軟に選択できるようになる

 PCに限らず多様なコンピュータデバイスを意識して設計されていたWindows 10X向けのユーザーインタフェースデザインを基礎にしているだけあって、適応できるデバイスの幅は広いと感じる。今すぐにWindows 11がPC以外の領域に羽ばたくとは思わないが、これからの10年を支える基盤と考えるなら必要なアップデートだろう。

Windowsの位置付けもより明確に

 もうひとつ、多くの人たちが忘れているだろう視点もある。それはWindows 10がリリースされた時には、まだMicrosoft自身がスマートフォン向けOSの開発を諦めていなかったことだ。

 Windows 10 Mobileは筆者自身、対応端末の開発・販売に携わったことがあるが、当時のMicrosoftは本気でWindows 10 Mobileを「Windows搭載PCと最もスムーズに連携するスマートフォン」としてプロモートしようとしていた。

Windows 10 Mobile Windows PCとの高い親和性で差異化を図ったWindows 10 Mobile搭載スマートフォン。写真は筆者が開発に携わったトリニティの「NuAns NEO」

 このためWindows 10自身、Windows 10 Mobileとの連携を意識した作りになっていた。その後、Windows 10 Mobileの開発が終了し、Windows 10のアップデートが進んだことでその意味は薄れてしまった。

 しかし今、Windows 10 Mobileに代わる製品をMicrosoftは持っていない。つまり、ビジネスでもプライベートでも欠かせない道具であるスマートフォンとの親和性を高めるにはAndroid、iOSと連携せねばならない。

 OneDriveを介して文書や各種メディアファイルを交換しやすいよう、相互で開いたファイルの履歴を参照できるようにするといった実際の利用シーンに合わせた作り込みも行われたのは、そうした環境の変化を鑑みてユーザーインタフェースや機能を整理し直す機会になったからとも言える。

 Microsoft StoreからAmazon Appstore経由でAndroid用アプリをダウンロードして動作させられるようになったことも大きなニュースだ。アプリケーションパッケージ(.apkファイル)を直接インストールすることもできたり、新しいユーザーインタフェースが強くタッチ操作などを意識しつつも、大画面デバイス向けのレイアウトを採用していたりすることを考えても、Windowsの役割を直視して、位置付けをより明確にしたという側面があるとうかがえる。

Windows 11 Windows 11はAndroidアプリに対応。Windows 11のMicrosoft StoreではAndroidアプリを検索し、Amazon Appstore経由でダウンロードすることもできる

 このように考えれば、Windows 11が名刺を変えた理由も納得できるのではないだろうか。年末までにはアップデートもさらに進むだろう。どこまで完成度を高められるのか、今から楽しみだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月09日 更新
  1. 超小型レトロオーディオ体験をFIIO「Snowsky ECHO NANO」で スマホリスニングのモヤモヤを解消するかも? (2026年09月08日)
  2. 「RTX Spark」搭載のWindows PCは10月に登場 LAN内のPCを束ねてローカルAI処理を分散・高速化する「NVIDIA PAIR」β版も公開 (2026年09月07日)
  3. 10月に登場する「RTX Spark」搭載PCで見た“不可解な”設定値 次期Windowsで変わるGPUメモリの仕組み (2026年09月07日)
  4. 実売1万円台&縦置き対応! ONPUの14型モバイルディスプレイは初心者の強い味方だった (2026年09月08日)
  5. 両手が塞がっていても瞬間解錠できるスマートキー「SwitchBot スマートロック Ultra 顔認証パッド」がセールで20%オフの2万7980円に (2026年09月08日)
  6. 再来する“グラボ複数挿し”需要! 220mm径の巨大ファン搭載ケースやFractal新モデルがアキバで話題に (2026年09月07日)
  7. 省スペースで静音性に優れた3Dプリンタ「Bambu Lab A1 mini」がセールで25%オフの2万9900円に (2026年09月08日)
  8. バッテリーを外せば約639g! 最新CPU「Intel Arc G3 Extreme」搭載の8型ゲーミングPC「OneXFly APEX Air」に触ってきた (2026年09月07日)
  9. ラトックシステム、デュアル4Kディスプレイにも対応したHDMI切替器 (2026年09月08日)
  10. HUION、アス比3:2の90Hz駆動ディスプレイを搭載したペン入力対応12.2型Androidタブレット (2026年09月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー