ハイエンド機でタイマン勝負!「Artist Pro 16TP」はワコムの牙城を崩せるかXP-Penの野望 エピソード2(1/5 ページ)

» 2021年07月27日 12時00分 公開
[refeiaITmedia]
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 こんにちは! refeiaです。

 今日も液タブメーカーの選択肢の夢を見ていこうと思います。今回は長い願いだった、ハイエンド機の選択肢についてです。


はじめに

 皆さんがご存じの通り、液タブは長らくワコムの寡占状態にありました。ワコム製品は書き味などはハイレベルで、プロの使用に耐えるスペックですが、低価格機の選択肢がなく、入門者は板タブ(ペンタブレット)から入るしかない構造になっていました。

 一方、ここ最近は国外メーカーが台頭してきました。安ければ2万円台で手に入る手軽な液タブでワコムのラインアップの隙間を埋める一方、性能や品質では溝を埋め切れておらず、Cintiq Proのようなハイエンド機に対抗できる製品はありませんでした。

 そんな中で、6月にXP-Penから「Artist Pro 16TP」が発売されました。見た目やカタログスペック的には「Cintiq Pro 16」のガチガチの競合機です。ついに来たか(ガタッ……)といったところですね。

Artist Pro 16TP XP-Penの新モデル「Artist Pro 16TP」

 Artist Pro 16TPの主な訴求点は、

  • 15.6型の4K(3840×2160ピクセル)ディスプレイ
  • 「92%のAdobe RGB」
  • マルチタッチ対応
  • マット感を最適化したアンチグレアガラスの採用
  • フルラミネーションディスプレイ
  • 消しゴム/傾き検知/筆圧8192段階対応のペン
  • USB Type-Cケーブル1本での接続に対応

 となっていて、びっくりするほどCintiq Pro 16の訴求点とそっくりです。原稿執筆時点で実売価格は税込み約11万円と、XP-Penの液タブとしてはかなり高価ですが、もしCintiq Pro 16(ワコムストア価格で同18万4800円)と競合できるならば非常にリーズナブルです。

 自分はCintiq Pro 16を制作用のメイン液タブにしています。これまで3台の個体を使ってきて、基本的に気に入ってはいるものの、いくつかの不満がありました。それで、もしこれで感触が良かったら乗り換えもアリかなあ、と思ってレビューを志願したわけです。はてさて、吉と出るか凶と出るか……。

 詳しく見ていきましょう。よろしくお願いします!

Artist Pro 16TP ネタバレですが、そう上手くはいかない、という結論になります

まずは本体をチェック

 今回はiPadなどとは違って、外観や接続から詳しめに入っていきますね。

 Artist Pro 16TPの表面はソリッドでシンプル、カスタマイズできるキーもありません。XP-Penは従来では見た目が多少ガチャガチャしてもボタンやキーをしっかり盛り付けてくることが多かったので、意外な印象ですね。

Artist Pro 16TP ソリッド&シンプルはワコム機の特徴だと思っていたのですが、ここでもかぶりました

 ボディーの背面には何も無しで、Cintiq Proのような脚もついていないため、作画に適した角度にするにはスタンドを別途用意する必要があります。

 机に張り付いてガツガツ使う用途ならば、どうせしっかりしたスタンドを使うので脚は不要です。運んで使う機会もあるならば、脚があればスタンドを持ち歩かなくても済む場合があるので、脚は欲しいと思います。

Artist Pro 16TP 個人的には脚は無くてOKです

 そして、上面と側面に操作ボタンとUSB Type-Cポートが並んでいます。USB Type-Cポートは、どちらのポートとも電力も映像信号もタブレット信号もやり取りできるタイプです。電源とディスプレイ設定以外には、輝度を直接調整できるのと、タッチ機能の有無を直接変更できるのがうれしい点ですね。

Artist Pro 16TP USB Type-Cポートの間にあるのは盗難防止ロック用の穴です

 全体的に、本体をシンプルにして高級感を演出する方向性になっていて、かなり好きな方向性です。自分の場合はカスタマイズキーよりもキーボードショートカットの方が速く快適に作業ができるので良いですが、カスタマイズキーが必要ならば、左手デバイスなどを別途用意する必要があります。


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