ハイエンド機でタイマン勝負!「Artist Pro 16TP」はワコムの牙城を崩せるかXP-Penの野望 エピソード2(4/5 ページ)

» 2021年07月27日 12時00分 公開
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実描:ラフ

 さて、本機は今までの機種と結構描き味が違います。なので今回は、「慣れの問題」をカバーするために、実描テストの前に1週間ほど毎日使っておきました。さらに、テスト用ファイルで工程をなぞるのではなく、最初から最後まで1枚描いてみて使用感を測ろうと思います。まずはラフから行きましょう。

Artist Pro 16TP これくらいのラフを描き捨てにしていくの楽しいんですよね……!

 ラフはシビアな表現はしませんし、レスポンスも良いので普通に描けました。他にもラフはたくさん描きましたが、滑りやすいのは自然な書き味とは言えず、心地よくもありません。慣れてきた状態では、筆圧をあまりかけずにちょろちょろ遊んでいるのは、それほど悪い体験ではありませんでした。

 気になったのは、マルチタッチ機能の完成度です。本機はiPadのような手の側面を認識して除外する機能はないですが、常にタッチ検知するモードと、ペンが検知範囲内にあるときにタッチを除外するモードと、常にタッチを無効にするモードがあります。この中の2番目の状態で使いたいのですが、サイドボタンを右クリックした瞬間にタッチが画面に通ってしまい、右クリック→意図しない部分にタッチ判定となって意図しない動作が頻発します。

 ならば、モードを切り替えながら使えば……と思うのですが、本体ボタンの反応が遅く、瞬時に切り替わるCintiq Proに比べるとストレスが大きいです。タッチが通ってしまう動作はドライバの更新で修正されることもあるでしょうが、現状ではペン+タッチの操作は実用的でないのは気を付けておくと良いでしょう。


実描:線画と彩色

 それでは進めていきましょう。線画はラフよりも厳しい感触でした。ペンが滑りやすいことで線が不安定になり、やり直しが増えました。ならばと思って強く筆圧をかけて摩擦を増やそうとしても、力をかけると滑り、検知可能最大荷重が低いために強弱の表現が制限されてしまいます。

 とはいえ、イラストアプリの手振れ補正を上げて若干気を付けながら描けば、線の強弱や抜き入りを再現したい人も、普通に描けると思います。

Artist Pro 16TP 手振れ補正を高めすぎると、運筆のメリハリまで消されてしまうので要注意です

 彩色は、自分はフェザータッチを多用するため、軽いときにブラシが抜けがちで、少し筆圧をかけるとベチャッと強めに出るのは気になりました。客観的に見ると閲覧する人が気にするような雑味にはならないかもしれませんが(他に雑なところはいくらでもあるので)、描いているときの気分はよくありません。

Artist Pro 16TP 塗れる……塗れるが……

 ここでもう1つ気になったのは、ペンの微小な動きにデッドゾーンのようなものがあることです。文章では分かりづらいので動画で見てください。

カーソルが止まったり飛んだりしていることや、線の塊があまり広がっていかないのに注目してください

 ペン先を細かく振って、光点のような小さな塊を描いたりすることがよくあるのですが、塊のボリューム感がコントロールできなかったり、ブラシの設定によってはなかなか意図する濃さにできないことがありました。これも迂回(うかい)できないわけではないですが、手指からせっかく出している抑揚も一部捨てられているのではという不安につながって、細かなストレスです。

 といったところで、完成です。

Artist Pro 16TP Artist Pro 16TPで一から描いてみたよ!

 全体として、自分の工程は全てこなせるし、仮にもっとしっかり描くとしても、品質も自分として問題ないレベルまで引き上げることもできると思います。ですが、ペン先が良く滑ることや、挙動の完成度の問題には最後まで慣れることができませんでした。

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