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» 2021年09月22日 22時00分 公開

第9世代iPadに感じた妥協しない価値 iPad miniとクイックメモに感じた新しい展望(2/4 ページ)

[林信行,ITmedia]

iPadに卓越した価値をもたらすiPadOS 15

第9世代iPad 画面の上をタップすると、3種類のマルチタスクモードをアイコンで選べる。複数のアプリの画面を横に並べて作業できるのは、iPhoneにはないiPadならではの作業スタイルだ

 他社製タブレットの多くが、ただスマートフォンの画面を大型化したものであるのと同様に、長らくiPadもiPhoneと同じiOSで動く製品だった。ただし、画面サイズがメーカー次第で多種多様な他社タブレットと異なり、iPadを出しているのはApple1社だけだ。

 このため、iPad用に最適化されたアプリも100万本以上あり、そうしたアプリでは例えば画面上のボタン間の距離が指の届く範囲かといった人間の身体の大きさに合わせた微調整が行われており、それだけにボタンが画面サイズに合わせて拡大/縮小されるだけにとどまる他のタブレット上のアプリと比べ、使い勝手が良い(Androidタブレットでも、人気の画面サイズに合わせてある程度のサイズ最適化は行える)。

 これだけでもiPadの大きなアドバンテージになっていたが、最近になってAppleはiPadにはiOSを元にしながらもiPadならではの使い方を意識して機能を拡張したiPadOSを提供しており、それだけにiPhoneとは違ったiPadならではの使い道がいくつも広がっている。

第9世代iPad 最新のiPadOS 15で提供される機能

 最重要機能は、大きな画面を生かして複数のアプリを同時に利用するマルチタスク機能だろう。iPadOS 15では、3種類のマルチタスク機能が画面の上から簡単に呼び出せ、例えば画面の左半分で電子書籍を読みながら、右半分にWebブラウザを開いて本の中の気になる話題を検索して調べるといった使い方が簡単にできる。

 その状態から今度は画面の左半分はマインドマップ、右半分はワープロの組み合わせに切り替えて本で学んだことを文章にまとめる、といった具合に複数アプリ画面の組み合わせを切り替えて作業も行える。これらはいずれも、iPhoneでは画面サイズ的にもOS的にもできない作業だ。

 iPadOSのもう1つ重要な最新機能がクイックメモだ。うまく使いこなせば、もしかしたらiPadの使い方を根底から変えてしまいそいそうな可能性すら感じさせる。

 画面の右下から内側に向かって指やApple Pencilでなぞると、画面上に付せんのようなメモが表示される。何か思いついたときに、この簡単な操作でメモを作成して、文字を入力したり、Apple Pencilで手書きしたり(アルファベットなら認識され、検索やコピー&ペーストも可能だ)、カメラで重要情報を撮影して記録したりもできる。

クイックメモはうまく活用できれば、iPadに全く新しい価値を加えてくれるすごい機能だと思う

 だが、さらにすごいのは、iPadで直前まで行っていた作業とリンクさせられる機能だ。

 例えば何か関する面白いWebページを見つけたら、すかさず画面右下からのスワイプアップで「クイックメモ」を表示。新規メモを作成してそのサイトについてのメモを手書き、あるいは画面上のキーボードで入力し、「リンクを追加」する。

 後日、学んだことを反すうしようと再びそのWebサイトを訪れると、画面の端から前回取ったメモが飛び出てくる(ネットの接続j状況によってしばらく時間がかかることがあったり、現状、少し動作が不安定なところがあったりする)。

 あるいは時間が経ってからメモのキーワード検索で、そのときのメモを見つけたらメモに貼られたリンクを押して、関連付けたWebサイトを表示させることもできる。

 同様にマップアプリでも気になった施設を表示したら、クイックメモを作成してその場所へのリンクを追加しておく。すると後日、クイックメモで検索して表示したそのメモから地図のその場所を表示することもできれば、地図で次回、その施設を検索したときに以前に書いたメモが表示されるのだ。

 クイックメモはある意味、iPad上で見たあらゆるものに貼ることができる付せんメモである。

 これまで電子書籍など、注釈やメモ機能が付いたアプリはいくつかあったが、メモした内容はアプリごとにバラバラに管理されていた。これに対してPadOS 15のクイックメモは、この付せん/メモを全てiPad標準のメモに統合しようとする貴重かつ画期的な一歩で、iPadのメモアプリ上にアプリの壁を超えて知の集大成を築くことができそうかもと期待を抱いてしまう。

 見ているコンテンツそのものにダイレクトにリンクをするには、アプリ側の対応が必要で(開発者の人はこちらを見て対応を進めて欲しい「Adopt Quick Note」)、対応していないアプリではアプリ単位でのメモ表示になってしまう。

 一例を挙げると、Apple Booksでも書籍単位で対応した付せんを貼り付けることはできるが、ページ単位とまではいかないようだ。iPadの使い勝手をさらに飛躍させるために、今後はぜひそのレベルで使える機能に進化させて欲しい。

 iPadOS 15では、iOS 15の全ての機能に加えて、上記の機能、さらにはSwift Playgroundでアプリを自作してApp Storeに登録することができる開発系の機能なども追加されている。

 スマートフォン用のOSを、ただ画面が大きなタブレットでも動くようにしただけではなく、iPadならではの絶妙な使い勝手を提供しているこのiPadOSが使えるというだけでも、iPadは非常に価値が高いと言えるだろう。

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