PC周辺機器メーカーの社員は中古品に手を出さない? その理由とは牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2021年09月28日 09時00分 公開
[牧ノブユキITmedia]
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 PC周辺機器メーカーの社員は、基本的に中古品には手を出さない──こうした傾向は、業界内で共通のものとして知られている。「中古品ばかり買われていては、自分達が商売上がったりになる」というメーカー特有の事情も、もちろん少なからずあるだろう。

 しかしどちらかというと理由として大きいのは、いったんユーザーが使った製品は、外観からは見抜けない不具合や劣化を抱えがちだという、日ごろから故障品として送り返されてくる品に接しているが故に知り得てしまう、メーカー社員ならではの知識によるところが大きい。具体的にどのような問題があるのか、例を挙げつつ見ていこう。

ペットが周辺機器の故障につながるケース

 周辺機器メーカーの修理センターに送られてくる故障品は多岐にわたるが、その中でかなりの割合を占めるのが、家庭で飼われているペットを要因とする品だ。

 これらの中には、機器本体やケーブルをペットにかじられた、尿をかけられたなど、外観や匂いからもすぐ判別がつく不具合もあるが、困りものなのが、ペットの体毛を原因とした故障や不具合だ。

 ペットの体毛は、PCや外付けHDDのように、外から空気を吸って排熱をする機器にとっては天敵で、知らないうちに機器の内部に入り込み、故障の原因となる。これらは分解しない限り、原因が分からないことも多い。大抵は原因不明として送られてきた故障品を分解したところ、内部にびっしりと体毛が入り込んでいた、という形で発覚する。

 これらは不具合を起こしてメーカーの修理センターに送られたことで発覚したからよかったようなものの、中には故障にまでは至らないまま、中古品販売業者に買い取られ、流通するケースも少なくないと考えられる。メーカー社内でそうした故障品を日ごろから見聞きしているメーカー社員が、それらを避けるのは当然だ。

思ったより発覚しない? タバコによる不具合

 これに近いところで不具合の原因になるのが、タバコだ。タバコの煙の粒子が中に入ることによって、電子機器の故障率は上がる。すぐに故障していなくても、タバコの煙にさらされる環境に設置されていれば、ヤニがショートの原因になったり、ホコリが付着しやすくなったりするのだ。

 例えばHDDにはS.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)など、健康状態をチェックするツールが用意されているが、タバコのような外的要因による不具合は、実際に起こるまで検知できない。前述のペットの体毛と違い、除去すれば回復するというものでもなく、じわじわと製品を蝕んでいく。

 唯一救いがあるのは、多くの場合、本体に臭いがつくことで、タバコのある環境で使われていたことが見分けられる(嗅ぎ分けられる)ことだが、実際には香水などによって分からなくなっていることも多いし、店頭で透明なフィルムでシュリンクされていたりすると、匂いを確かめるのは困難だ。

 以前ならば、タバコのヤニが付くことで白いボディーが黄色く変化し、外観から見分けることもできたが、最近の周辺機器はボディーカラーは黒系であることも多いので、この見分け方も通用しなくなってきている。さらに最近では、液体電子タバコに含まれるグリセリンという新たな故障の要因も登場しており、状況はかつてより悪化している。

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