コラム
» 2021年11月16日 23時00分 公開

ネイティブ超えの新DLSSを追加――NVIDIAが「GeForce Experience」をアップデート Radeonでも使える超解像技術も公開(1/2 ページ)

NVIDIAが、GeForceシリーズ用のコンパニオンソフトウェア「GeForce Experience」の最新版を公開した。GTXシリーズでも使える新たな超解像技術を搭載した他、RTXの超解像技術「DLSS」も最新版にアップデートされる。加えて、Radeonなど他社GPUでも利用できる超解像技術をオープンソースSDKとして公開した。

[西川善司,ITmedia]

 NVIDIAは11月16日(日本時間)、同社のGPU「GeForceシリーズ」向けのコンパニオンソフトウェア「GeForce Experience」の最新版を公開した。今回のアップデートでは、GeForce GTX/RTXの両シリーズで利用できる超解像技術「NVIDIA Image Scaling and Sharpening」(以下「NVIDIA ISS」)が新たに実装された他、GeForce RTXシリーズで利用できるAI(人工知能)ベースの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」がバージョン2.3に更新されている。

 加えて、同社は同日、超解像技術に関するオープンソースSDK(ソフトウェア開発キット)「NVIDIA Image Scaling SDK」をGitHubを通して公開した。このSDKはNVIDIA ISSをオープンソース化したもので、AMDの「Radeonシリーズ」を始めとする他社製GPUでも動作するクロスプラットフォーム設計であることが特徴だ。

 発表に先立って、NVIDIAは今回の発表内容の説明会を開催した。その内容をレポートしよう。

概要 NVIDIAが今回発表した内容の概要

NVIDIA ISSとは?

 GeForce Experienceのアップデートで追加されるNVIDIA ISSは、実行中のゲームに対して効かせることができる超解像フィルターである。

 使い方はシンプルだ。「Render Resolution(レンダリング解像度)」と「Sharpen(鮮鋭化)」の2つのパラメーターを設定することで「効き具合」を調整するだけでよい。

 レンダリング解像度は「85%」「77%」「66%」「59%」「50%」から選択でき、鮮鋭化はスライダーで「0〜100%」の範囲で調整できる。

 レンダリング解像度で表される「パーセント値」は、映像として表示したい解像度に対して「どのくらい"実"描画解像度を下げるか」を意味している。

 例えば、4K(3840×2160ピクセル)でゲームを楽しみたいとして、GPUの性能が不十分でそれがままならないことがある。その際にレンダリング解像度を「50%」に設定すると、GPU側は画面解像度の50%、つまりフルHD(1920×1080ピクセル)で映像を描画する。この映像に超解像処理を施すことで4Kへとアップスケールして表示されるという具合だ。

 この例の場合、GPUへの負荷はフルHDでの描画時とほぼ同等となる。つまりフルHD描画時に近いフレームレートで、4K映像を表示できるということになる。

 もちろん、超解像処理で生成される映像は、算術的に合成されたものなので“疑似”的な高解像度映像にはなる。本来の解像度の表現に近づけたい場合は、パーセント値を上げていけばよい。

アップスケール 左はNVIDIA ISSの設定画面のイメージ。レンダリング解像度はパネルに表示されたパーセント値で選択し、鮮鋭化の具合はスライダーで調整できる。右は、ゲームの実行中に調整する場合の設定画面だ

 鮮鋭化で設定できるパーセント値は、疑似的に高解像度化された映像の陰影の強調具合に相当する。実際の解像度が上がるわけではないが、鮮鋭化のパラメーターを上げれば上げるほど、見た目は“パリっと”する。ここは個々の好みに合わせて調整していくものといえる。

 NVIDIA ISSは、GeForce上で描画される3Dグラフィックス全般で有効となる。ただし、一部のNVIDIA ISS対応ゲームではAlt+F3キーを押すと出てくるオーバーレイメニューで効き具合の調整可能だ。

プリセットリスト NVIDIA ISSのレンダリング解像度の一覧。一番左の列は、AMDの超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」において対応する設定を示している

 冒頭で触れた通り、NVIDIA ISSはGeForce RTXシリーズに搭載されている「Tensorコア」を活用したものではなく、プログラマブルシェーダー(Compute Shader)ベースで実装されている。だからこそ、冒頭で触れた通りGeForce GTXシリーズでも利用できる。

 NVIDIA ISSで用いる超解像のアルゴリズムについて、NVIDIAの担当者は「処理対象とした単一の画像に対する解析処理で実践するタイプである」と公言している。そのことから、技術的な実装はAMDが6月にリリースした「FidelityFX Super Resolution(FSR)」と類似したものだと思われる。

FSR NVIDIA担当者の説明を聞く限り、ISSの仕組みはAMDのFSRと類似したものだと思われる

他社GPUでも超解像処理を実現する「Image Scaling SDK」

 NVIDIA Image Scaling SDKは、NVIDIA ISSの超解像フィルターをオープンソース化したもので、ゲーム内に組み込むことで利用できる。機能的にはGeForce Experienceに統合されたNVIDIA ISSと同様だが、SDKとして組み入れることでNVIDIA側の超解像処理と、ゲーム開発元によるゲーム映像のチューニングやディレクションとのバランスを取りやすくなるというメリットがある。

Image Scaling SDK NVIDIA Image Scaling SDKは、NVIDIA ISS相当の超解像処理系をSDK化したものだ。画像は、その動作フローを示したものである

 メリットをもう少し具体的に説明しよう。「体力ゲージ」「照準器」「字幕」といったゲームの画面にオーバーレイ表示する要素(ヘッドアップディスプレイ:HUD)を超解像処理の対象から外したいとする。ここでNVIDIA ISSを使うと、描画全体が超解像処理されてしまう。それに対して、ゲーム内にImage Scaling SDKを直に組み込めば、オーバーレイ表示する要素を個別に超解像処理から除外しやすくなる。

 なお、Image Scaling SDKも基本的にはプログラマブルシェーダーベースで実装されている。NVIDIAの担当者は「(原理上は)Image Scaling SDKを組み込めば、NVIDIA以外のGPUでも(超解像処理を)動作させられる」と説明している。つまり、Image Scaling SDKを使うことで、GeForceシリーズだけでなくAMDのRadeonシリーズでも超解像処理を行えるということである。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.