全てのハイエンドが“過去”になる――4Kゲーミングの最高峰「GeForce RTX 3080」先行レビュー(1/5 ページ)

» 2020年09月16日 22時00分 公開
[松野将太ITmedia]

 9月17日に発売される「GeForce RTX 3080」を皮切りに、NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 30」シリーズを搭載するグラフィックスカードが順次発売される。

 RTX 3080のリリースに先駆けて、NVIDIAが一部のメディアに同GPUのリファレンスカード「GeForce RTX 3080 Founders Edition」をレビュー用に提供している。先日、このカードの外観レビューをお伝えしたが、今回はついにその“実力”をチェックしていく。

GeForce RTX 3080 Founders Edition GeForce RTX 3080 Founders Edition

「RTX 2080 Ti」を上回るパフォーマンスを発揮

 GeForce RTX 30シリーズは、従来の「Turing」に代わる新GPUアーキテクチャ「Ampere(アンペア)」を採用した。製造には韓国Samsung Electronicsが持つ8nmプロセスを用いたという。

 今回取り上げるGeForce RTX 3080の処理能力を箇条書きすると、以下の通りとなる。

  • CUDAコア(シェーダープロセッサ):最大約30TFLOPS
  • RTコア(リアルレイトレーシング処理):最大58TFLOPS
  • Tensorコア(ディープラーニング処理):最大238TFLOPS

 12nmプロセスのTuringコアと比べると、総合性能が大幅に引き上げられていることが特徴だ。

CUDAコア CUDAコアの増加と共に、RTコアやTensorコアの処理能力も向上。Turing世代から大幅な性能向上を実現した

 GeForce RTX 30シリーズでは、GPUコアだけではなくグラフィックスメモリも強化されている。新たに採用された米Micron製の「GDDR6Xメモリ」は、データ転送時の信号を従来の2値(0、1)から4値(0、1、2、3)に拡張する「PAM4(4値パルス振幅変調)」などの新技術を適用することで、従来の「GDDR6メモリ」と比べて2倍の帯域幅を確保。接続インタフェースとして「PCI Express 4.0」に対応したことと相まって、グラフィックスデータのやりとりをより高速に行えるようになった

 ただし、GDDR6Xメモリを搭載するのは、現時点のラインアップではGeForce RTX 3080と、さらに上位の「GeForce RTX 3090」に限られる。下位モデルの「GeForce RTX 3070」では、従来と同じGDDR6メモリを搭載している。

 結果として、NVIDIAの公称値ではあるが、従来製品(GeForce RTX 2080 Ti)と比べてリアルタイムレイトレーシング(RT)利用時のパフォーマンスに比べ1.5〜2倍単位電力(W)当たりのパフォーマンスは1.9倍を実現しているという。見方次第では結構“センセーショナル”にも映る。

 「本当にこんなにパフォーマンス上がるの?」という疑問が沸いてくる所だが、その妥当性はこの後のベンチマークテストでチェックしていこう。

性能 RT利用時のパフォーマンス比較。ゲームやツールにもよるが、RT利用時のパフォーマンスが1.5〜2倍ほど向上している

電源コネクターは専用品に

 下に挙げた表は、GeForce RTX 3080のスペックをGeForce RTX 2080シリーズと比べたものだ。

 Turingの製品群と比べると、CUDAコアの大幅に増加しているのが非常に分かりやすい。GeForce RTX 3080のCUDAコアはGeForce RTX 2080 Tiのちょうど2倍なので、理屈の上では「大幅な性能向上」には説得力がある。

スペック表 GeForce RTX 2080シリーズとのスペック比較

 ただし、RTX 3080のグラフィックスメモリの容量は10GBでRTX 2080 Tiと比べて1GB少ない。また、RTX 3080の消費電力はRTX 2080 Tiよりも70W多い。高負荷で動作させた場合には、それなりの電力を消費することも覚えておきたい。

 なお、RTX 3080の補助電源コネクターは、独自の12ピンのものとなっている。「これじゃあ挿せない……」と思うかもしれないが、一般的な8ピン×2ケーブルから変換するアダプターも付属している。今後、この12ピンケーブルが付属する電源ユニットも発売される見通しだ。

変換アダプター 8ピン×2を12ピンに変換する変換アダプターも付属するので、既存の電源でも安心して使える

 米国におけるGeForce RTX 3080 Founders Editionの想定販売価格は699ドル(約7万4000円)で、初出価格は従来の「GeForce RTX 2080」「GeForce RTX 2080 SUPER」のFounders Editionと同額となる。少なくともRTX 2080 Tiを凌ぐパフォーマンスを発揮する製品がこの値段で出てくることには、率直にいって驚きである。

 ただし、いつもの通りではあるが、日本ではFounders Editionの販売予定はない。NVIDIAのパートナー企業が設計、開発したグラフィックスカードのみが販売される。パートナー企業のグラフィックスカードは、税別でおおむね10〜11万円前後となることが予想される。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年11月15日 更新
  1. 10年間“卒業”できなかったVAIOがノジマ傘下に入る理由 (2024年11月13日)
  2. ビクターの“耳をふさがない”新作イヤーカフ型イヤフォン「HA-NP1T」の完成度が高い! カラバリと中高音域のクリアさ、価格に魅力あり (2024年11月14日)
  3. これからはいつでも一緒 持ち運べる最高峰キーボード「REALFORCE RC1」は誰に適した製品か? (2024年11月14日)
  4. 毎秒7GBに速度アップでも温度上がらず! 新型SSD「Samsung 990 EVO Plus」を試して分かったこと (2024年11月13日)
  5. 新型Macに搭載された「M4チップ」「M4 Proチップ」の実力は? 実機をテストして分かったこと (2024年11月07日)
  6. Core Ultra(シリーズ1)を搭載した「VAIO SX14-R」「VAIO Pro PK-R」が11月8日登場 最軽量構成は1kg切りで新色も用意 (2024年10月31日)
  7. Dynabookが個人向け13.3型ノートPCの新モデル CopilotキーとOffice 2024を搭載して11月15日から順次発売 (2024年11月13日)
  8. マウスが最大8万円引きの「ブラックフライデーセール」を開始 (2024年11月13日)
  9. Appleのオーディオ機器はなぜ評価されるようになったのか? AirPods Pro 2の「聴覚補助機能」からヒントを探る (2024年11月12日)
  10. キングジム、「テプラ」Grand WR1000付属のACアダプターに発火の恐れ 無償交換を実施中 (2024年11月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー