続いて、RTX 30シリーズの真骨頂ともいえる「DirectX Raytracing(DXR)」や「ディープラーニングスーパーサンプリング(DLSS)」に対応するゲームにおけるパフォーマンスを比較してみよう。
まず、比較的早期にDXR対応を実現した「Control」(レメディー・エンターテインメント)をテストする。画質プリセットは“最高”にして、解像度はこれまで同様の3種類でテストしている。DLSSについては、フルHDのみ「無効」、WQHDと4Kでは「有効」とした。フレームレートは、ゲーム内の一定コースを移動した際にNVIDIAの純正ユーティリティーソフト「FrameView」を使って計測した。
先述の通り、フルHDではDLSSを無効としたこともあり、WQHDの方がフレームレートが高くなっている。RTX 3080のフレームレートを見てみると、フルHDやWQHDでは平均100fps前後、4Kでは平均60fps前後と、いずれの解像度でも快適な描画ができている。
RTX 2080 TiはフルHDとWQHDでは平均60fpsを超えるものの、4Kでは平均47fpsと、60fpsを少し下回る。RTX 2080に至っては、フルHD解像度でもDLSSを無効化した状態では平均60fpsに届かない結果だ。DLSSのサポートもあり、RTX 3080における高解像度・レイトレーシングでのゲーム体験は非常に安定したものになると言っていい。
ものはついで、という訳ではないが、DXRを無効化した場合のフレームレートも合わせて計測してみた。
RTがオフになると、フレームレートは大きく底上げされる。しかし本作のようなタイトルでは、RTのオン/オフによる描画クオリティーの差は目に付きやすい。
RT対応タイトルでリッチかつ快適なグラフィックス描画を体験したいのであれば、今後はRTX 30シリーズがファーストチョイスになることは間違いない。
さらに、最近DXR対応がアナウンスされた「フォートナイト」(エピックゲームス)でも、ベンチマークテストを実施した。画質プリセットは“最高”を選択し、解像度は3種類、RT効果は全て適用し、DLSSのプリセットは「バランス」に設定している。計測にはRT効果を強調するクリエイティブモードの特別マップ「RTX Treasure Run」を利用し、一定コースを移動した際の平均フレームレートと最小フレームレートを取得した。
フォートナイトは元々軽量なゲームではある。しかし、DXRを有効化すると負荷は劇的に高くなる。それでも、RTX 3080であればフルHDで平均120fps、最小97fps程度と、高リフレッシュレート液晶を活用できるだけのパフォーマンスを発揮できる。もっとも、RTX 2080でも平均74fps程度は出るため、プレイできないというほどではない。しかし快適さはRTX 3080が大きく勝る。
一方、RTX 3080でも解像度が高くなるほどフレームレートが厳しくなり、4Kでは平均フレームレートが42fps前後まで低下してしまう。
本作の場合、DLSSのプリセットを3種類から選択可能となっているため、よりフレームレートを出しやすい「パフォーマンス」プリセットを選択するなどの工夫が必要になってくるだろう。
ちなみにDXRとDLSSを無効化すると、フレームレートが大きく改善される。ただし、4Kでも平均・最小フレームレートが60fpsを超えるのはRTX 3080だけだ。
ベンチマークテストの締めくくりに、レイトレーシングおよびDLSS効果を盛り込んだ実ゲームベースのベンチマークアプリ「Boundary:Raytracing Benchmark」の挙動を見てみよう。
このアプリではDLSSのプリセットを3種類から選べるが、今回は画質を極力維持する「Quality」と、フレームレートを重視する「Performance」の2種類で平均フレームレートを計測している。
各GPUの性能差は、これまでの結果と何ら変わりないが、DLSSプリセットごとのパフォーマンスを比較してみると、いずれのGPUもプリセットを変更するとフレームレートが30%前後向上している。元々性能的に余裕のあるRTX 3080は、フルHDで44fps、4Kで15fpsほどの大きな改善を見せているのが分かるだろう。
画質の変化に関しては検証の余地があるものの、RTX 30シリーズを活用することで、これまで以上にRTを活用しやすくなるのは間違いない。
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