ネットショップのセールに潜む「ニセ特価品」という闇 高い割引率を装う手口とは牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2021年11月26日 08時00分 公開
[牧ノブユキITmedia]
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通常価格よりも本当に安いかを判断するために

 ところで、こうした特価セールにおいて「参考価格の何%引」という表示をする場合、必ず相当の期間、その参考価格で販売されている必要がある。これは景品表示法で定められており、違反すると有利誤認表示として措置命令がくだされる。例えば、アマゾンジャパンは2017年、メーカーが設定した希望小売価格よりも高い参考価格を表示していたとして、消費者庁が措置命令を行っている。

 もっとも、こうした例は氷山の一角で、野放しになっているのは周知の事実だ。中でもセール直前に値上げをして、割引率を大きく見せようとするテクニックは、海外業者ではおなじみだ。Amazonにおける製品の価格変動をグラフで表示する外部ツール「Keepa」を使ってこれらを回避するワザもあちこちで紹介されているので、目にしたことがある人も多いだろう。

Keepa Amazonで販売されている商品の価格変動をグラフで表示できるサービス「Keepa」。セール品のチェックでよく使われているツールだが、抜け穴も……

 もっとも、Keepaを使えば価格の変動を正確にチェックできるのは、もはや過去の話になりつつある。というのも最近は、通常時はクーポンを使って値引き販売をしておき、セール時にはクーポンをなくして元の値段から割り引いているかのように見せかける方法が横行しているからだ。

 例えば、通常は2000円の品に500円引クーポンを組み合わせて1500円で販売しておき、セール時にはこのクーポンをなくし、25%引の1500円として販売するわけである。このようにすると、どちらも販売価格は1500円ながら、後者はきちんと割引販売が行われたように見える。しかも実際に2000円で売られていたケースは通年で一度もないときている。実態は「セールか否かに関係なく価格は常時1500円」なのだ。

 前述のKeepaは、通常価格の変動履歴は表示できるが、クーポンについては一切考慮されないため、こうした実態を見抜くことはできない。つまりこれまで2000円で販売されてきた品が、セール時に25%引の1500円になってお得なように見えるのだ。Keepaに頼っているユーザーほど、逆にだまされやすいといえる。

 従って、どうしても欲しい製品に関しては、しばらく前からクーポンの額も含めた価格をチェックしておくのが、だまされずにお得に製品を購入するためのコツであり、通常時からクーポンを使って割引を行っている業者は、疑ってかかって損はないだろう。

著者:牧ノブユキ(Nobuyuki Maki)

IT機器メーカー、販売店勤務を経てコンサルへ。Googleトレンドを眺めていると1日が終わるのがもっぱらの悩み。無類のチョコミント好き。HPはこちら


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