iPad Airと11インチiPad Proを比較した場合、スペックや機能は1万4000円高い(256GBモデルの場合)後者が圧倒している。iPadシリーズの中で上位モデルなのだから当然だ。大きくは7点の違いがある。それぞれについて解説したい。
両者ともUSB Type Cコネクターとなっているが、iPad ProはThunderbolt 3仕様で、USB4モードを使うことで最大40Gbpsの通信が可能だ。このフルスペックを使うSSDなどの外部ストレージ、あるいは高精細、高リフレッシュレートのディスプレイを接続するならば意味がある。とはいえ、iPad Airも最大10Gbpsと先代モデルに比べると2倍に強化されており、この差が出る場面は限られる。
iPad ProがTrueDepthカメラを用いた顔認証のFace IDなのに対し、iPad Airはトップボタンに内蔵した指紋認証のTouch IDだ。マスクを付けたままのロック解除はiPadのFace IDでは利用できないため、ロック解除はTouch IDの方がいいと考える方もいるだろう。
ただし、ミー文字などTrueDepthカメラを活用する機能やアプリは、iPad Airでは利用できないというトレードオフがある。
iPad Airは10.9型(2360×1640ピクセル、最大500nits)であり、iPad Proの11型(2388×1668ピクセル、最大600nits)よりほんの少し小さく最大輝度も低い。いずれもDisplay-P3の色再現域は持っており、この程度の差であれば気にする必要はほとんどない。
サイズの面では、わずかに本体の厚みが増していることの方が大きな違いと感じるだろう。両製品とも極めて薄い仕上がりだが、iPad Proの5.9mmに対してiPad Airは6.1mmとわずかに厚くなっている。主な理由は使用している液晶パネルの違いによるものだと推察される。一方で、重量はiPad Airの方がわずかに軽い(Wi-Fiモデルで5g軽い461g、Wi-Fi + Cellularモデルで8g軽い462g)。
また、iPad Proは120Hzの高速表示技術であるProMotionに対応している。ProMotionは画面の書き換えが速いだけではなく、タッチパネル(Apple Pencilを含む)の読み取りサイクルも速い。これに対して、iPad Airは60Hzと一般的なリフレッシュレートだ。
使用上の問題はないが、ProMotion対応になると指に吸い付いたようにドラッグする画面が追従し、Apple Pencilを使って軽いタッチでサラサラと描く場合などにも思い通りの筆致が期待できる。筆者は絵を描かないが、プロのイラストレーターははっきりと体感できるという。
iPad Airは背面に1200万画素の広角カメラを搭載し、iPad Proはこれに1000万画素の超広角カメラも加えた2眼カメラ構成だ。
iPad ProはARでの利用も想定されており、広範囲に距離をスキャンできるLiDARセンサーも搭載している。しかしAR以外の用途では現時点であまり使われていない。シンプルな1眼カメラでよいならば、この違いを気にする必要はあまりない。
iPad Proは画面の向きが縦横どちらでもステレオになるよう4つのスピーカーを内蔵している。これに対してiPad Airは2スピーカーのため、横画面のときだけステレオだ。映像作品を楽しむ際には横方向にしていることも多いだろう。ただ、聴き比べると横画面時の音質、空間オーディオの立体感、いずれもiPad Proの方が優れていた。
iPad Proでは5個の内蔵マイクを使って指向性を細かくコントロールできるビームフォーミング制御が行われている。これに対し、iPad Airはデュアルマイク構成で、背景ノイズなどのノイズキャンセル機能に使われていると考えられるが、ビームフォーミング制御はできない。
iPad Airは先代モデルにないセンターフレーム機能を追加しており、オンライン会議の利便性が高まっただけに、ビームフォーミング機能は欲しいところだ。
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