新しい「13インチMacBook Pro」は誰のための製品か? 理想的な進化を遂げた「Apple M2チップ」の魅力本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2022年06月22日 22時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

ベンチマークテストが示すM2チップの“実力”

 「そんなに性能変わるの?」と疑問を抱く人もいると思うので、ここからはM1チップモデル(GPUコア8基、16GBメモリ)とM2チップモデル(GPUコア10基、16GBメモリ)でCINEBENCH R23のスコアを比較してみよう。結果は以下の通りだ。

  • M1チップモデル
    • シングルコア:1442ポイント
    • マルチコア:7626ポイント
  • M2チップモデル
    • シングルコア:1603ポイント
    • マルチコア:8632ポイント

 CPUコアの進歩とクロック周波数の上限向上もあって、シングルコアのスコアは11.2%、マルチコアのスコアは13.2%向上した。MP Ratio(マルチコアスコアとシングルコアスコアの倍率)は5.29倍から5.39倍に改善している。

 マルチコアスコアの伸び率が高いのは、Eコアの性能向上幅が大きいことが理由だ。クロック周波数の伸び“だけ”で計算すると、マルチコア時のスコア向上は6.7%程度、シングルコア時の性能向上は10%程度にとどまる。残りの性能向上は、CPUコア自体の改良によるものといっても良いだろう。マルチコア時のスコア向上率の高さから、その実力の一端が垣間見えるだろう。

 いずれにしろ、現代のCPUは消費電力と熱に支配されている側面が大きい。とりわけバッテリー駆動時の日常的な作業においては、Eコアの優秀性が効いてくる場面も多いはずだ。

スコア差 CINEBENCH R23の結果。左がM1チップ、右がM2チップモデルのものだ

 コア数が明確に増加しているGPUコアの性能向上は、CPUコアのそれよりも幅が大きくなる。

 M2チップモデルで総合ベンチマークテストアプリ「Geekbench 5」のComputeベンチマーク(GPUの演算性能テスト)を実行してみると、スコアは3万777となった。M1チップ(GPUコア8基)では2万500〜2万1000程度だったので、およそ1.5倍になっている。単純にGPUコアの増分だけでは25%程度の性能向上となるはずなので、残りの25%程度はGPUコアの設計改善と稼働クロックの向上で伸びたということになる。

 ちなみに、モバイル(ノートPC)向けGPUでこれに近いスコアを探すと、AMDの「Radeon RX 5500M」の2万9714がある。SoCのGPUでこれだけの性能が出るということは驚きである。

Geekbench M2チップモデルでGeekbench 5のComputeテストを実行した結果。Radeon RX 5500Mを少し上回るスコアを記録した

 GPUに関してはゲームや動画処理、あるいは深層学習処理などで持続的に大きな計算を行うこともあるだろう。そこでiPad向けの3Dベンチマークアプリ「3DMark Wildlife」をストレス負荷モード(Extremeモードで約1分間のシーンレンダリングを20ループするモード)で動作させてみた。

 冷却ファンがあるせいか、ストレス負荷モードでありがちなサーマルスロットリングも見受けられない。フレームレートはM1チップモデル比で50%近く向上した。ただし、バッテリー駆動でテストした場合の消費電力増は避けられず、テスト中に消費したバッテリー容量がM1チップモデルが6%ほどだったのに対し、M2チップモデルは約2倍の14%ほどになった。

 テスト中、ディスプレイがオンになっていたことを考えれば、GPUをフルに回した際の電力消費は相応に増加しているといえそうだ。

3DMark Wildlife M2チップモデルにおける3DMark Wildlifeの結果

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