新「MacBook Air」や「M2チップ」だけじゃない Appleが3年ぶりに世界中の開発者を集めて語った未来本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/4 ページ)

» 2022年06月08日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 Appleは6月6日(米国太平洋夏時間)から、開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference 2022(WWDC22)」を開催している。各種カンファレンスは全てオンラインで提供されているが、2022年は3年ぶりに米国本社「Apple Park」に約1000人の開発者を抽選で招き、交流できる場が設けられた。

 本来は撮影不可となっている本社内、カフェテリアと敷地内公園、屋外ステージなどを活用した会場は、素晴らしく開放的な空間に仕上げられていたが、もちろん重要なのはAppleの提供するプラットフォームの未来である。

 開発者たちに未来を見てもらえるかどうかが、Appleの未来を決めると言っても過言ではない。Appleプラットフォームでアプリケーションを作り上げていくことが、自分達の将来にとってプラスであると捉えてもらわなければ、将来の発展も見込めないからだ。

 Appleのティム・クックCEOは「3年ぶりに集まることができた。皆さんが交流し、意見を出し合い、アイディアを交換できる場を作った。Appleのシャツを着ているエンジニアもたくさん参加している。何か疑問があれば、彼らに質問してほしい」と呼びかけた。

 そもそもApple Parkは、「さまざまな役割の社員が交わる場になってほしい」という故スティーブ・ジョブズ氏が抱いていた思いをもとに設計された場所だ。そういう意味では、Appleプラットフォームに集う開発者がApple Parkパークに集まったことは、新型コロナウィルスの“エンデミック”を迎えるにふさわしい節目といえるかもしれない。

WWDC22の現地 (抽選ながらも)3年ぶりにApple Parkに開発者を招待して行われたWWDC22。現地で行われた最初のプログラムは、屋外スクリーンで基調講演を視聴するというものだった

個人ユーザーはオールニューの「MacBook Air」に注目

 WWDCというイベントは、Appleが提供する各種プラットフォーム(Mac、iPhone、iPadなど)向けの次世代OSについて、実装される新機能や改善事項の一部を開発者と共有し、アプリケーションへの対応を促す意味合いが強い。そのため、発表内容を詳細に分析すると、おぼろげではあるがその年の“新しいiPhone”が目指す方向が見えてくる。

 そんな中、AppleはWWDC22に合わせて目玉となるハードウェアの新製品を用意していた。Mac向けのオリジナルSoCの第2世代「Apple M2チップ」と、同チップを搭載する新型の「MacBook Air」と「MacBook Pro(13インチ)」である。

 特にMacBook Airは、Macの全製品の中で最も多く売れているシリーズである。従来型(2021年モデル)は、Apple M1チップを搭載しながらもボディーはIntelモデルから継承していた。そのこともあり、本体デザインの刷新を伴うアップデートはある意味で予想通りだった。

MacBook Air(2022) WWDCに合わせて発表された新しいMacBook Airは、ボディーデザインを刷新した

 新しいMacBook Airは、Apple Watchのカラーを踏襲する「シルバー」「スターライト」「スペースグレイ」「ミッドナイト」の4色を用意しており、カラーごとにMagSafe充電ケーブルのカラーリングが変更されるなど、より“個人向け”を意識したモデルとして仕上がっている。

 装備しているポート類は従来型とほぼ同様だが、復活したMagSafe端子から電源を取れるため、2ポートのThunderbolt端子を周辺機器の接続にフル活用しやすくなった。一方で、厚さが約1.13cmしかない薄型設計もあって、SDメモリーカードスロットが装備されていないのは、筆者個人としては残念な部分だろうか。

MacBook Air スペースグレイのMacBook Air
左側面 左側面にはMagSafe端子とThunderbolt端子×2を備える
MagSafe 独立した電源入力端子としてMagSafe端子が復活したので、Thunderbolt端子を周辺機器の接続にフル活用しやすくなった。付属の電源ケーブルは本体カラーに合わせたカラーのものが付属する。写真のACアダプターは、日本では店頭販売の上位モデルに付属する新型の「デュアルポートUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」である

 ディスプレイの最大輝度は500ニトに高められ、画面サイズは13.6型、最大解像度は2560×1664ピクセルとなる。上部のFaceTime HDカメラの部分にノッチ(切り欠き)があるが、この部分を除くと従来モデルと表示領域はほぼ同じとなる。すなわち、メニュー部分を除くエリアがまるまるデスクトップで使える。

 内蔵カメラの強化、アレイマイクの搭載、4基構成のスピーカーの搭載といったグレードアップは、昨今の最新Macのトレンドを踏襲したもので、とりわけスピーカーの音質には期待ができそうだ。しかし、やはり注目はその中身、Apple M2チップだろう。

ディスプレイ ディスプレイは13.6型で、ノッチ部分を除くと従来モデルとほぼ同じ表示領域を確保している
裏面 従来モデルと同様にファンレス構造を堅持している。そのため、裏面を含めてスリット類は一切入っていない
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー