新「MacBook Air」や「M2チップ」だけじゃない Appleが3年ぶりに世界中の開発者を集めて語った未来本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)

» 2022年06月08日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

順当なアップデートだったApple M2チップ

 半導体のファウンドリー(受託製造者)として大手である台湾TSMCは、2022年内に3nmプロセスを限定的ながら立ちあげるという報道もある。同社にSoCの製造を委託しているAppleが3nmプロセスを採用する可能性もあったが、Apple M2チップは結局M1チップと同じ5nmプロセスで登場することになった。

 ただし「第2世代」の5nmプロセスを名乗っていることから、さまざまな改良が施されている。メインメモリの帯域はM1チップの約1.5倍に拡大され、パッケージに搭載できるユニファイドメモリ(メインメモリ兼グラフィックスメモリ)の容量は最大24GBとなった。「ProResビデオエンジン」や8K(7680×4320)ピクセルのH.264/H.265(HEVC)動画のハードウェアエンコード/デコードに対応した「メディアエンジン」も搭載している。

 後述するが、処理パフォーマンスの改善具合から推察するに、CPUコアやGPUコアはiPhone 13シリーズなどで採用された「A15 Bionic」のものがベースになっているものと思われる。

M2チップ Apple M2チップの概要(基調講演より)

 iPhone/iPad向けのApple Aチップシリーズが世代を重ねるごとに高効率化されているのと同様に、Apple M2チップはApple M1チップよりも消費電力あたりの処理パフォーマンスは向上している。

 ピーク性能も電力効率も高まったM2チップだが、MacBook Air(8コアCPU+10コアGPU構成)とMacBook Pro(13インチ)に搭載されるものに処理パフォーマンス上の差はない。ただし、M1チップを備える現行のMacBook AirとMacBook Pro(13インチ)と同様に、冷却ファンを備えるMacBook Pro(13インチ)の方がピーク性能は維持しやすいだろう。

 M1チップと同じく、CPUコアの構成は処理パフォーマンス重視の「高性能コア(Pコア)」と省電力性重視の「高効率コア(Eコア)」が4基ずつとなっている。それでも、処理パフォーマンスは最大で18%向上している。これはCPUコアの設計が新しくなったことに起因するだろう。

 一方で、GPUコアはM1チップが7コアまたは8コアだったのに対し、M2チップでは8コアまたは10コアに増強されている。M1チップの8コアGPUとM2チップの10コアGPUを比較すると、最大35%のパフォーマンス改善を果たしている。

CPUコア CPUコアのパフォーマンスは先代のM1チップ比で最大18%向上している(基調講演より)
GPUコア GPUコアはM1チップから基数が増えた。そのこともあり、CPUコアよりもパフォーマンス向上の度合いは高く最大で35%の改善を示す(基調講演より)

 M1ファミリーのアップデート履歴を振り返りつつ今回のM2チップを見てみると、iPhone/iPad向けのApple Aファミリーの開発成果を反映しつつ、半導体製造の熟成に合わせてより大規模なSoCとして仕上げたものがM1ファミリー、あるいはこれから展開されるであろうM2ファミリーということなのだと思う。

 簡単にいうと、5nmプロセスの歩留まりが改善した結果生まれたのがM1 Proチップ、M1 Max、あるいはM1 Ultraチップであり、さらにM1チップからM2チップへのアップデートも果たせた、ということだ。

 2022年秋に登場するであろうiPhoneのSoCは、3nmプロセスになる可能性がある。このプロセスが安定してくれば、その開発成果(CPUコア、GPUコア、ニューラルエンジンなど)を踏襲しつつ、スケールアップして新たなMファミリーを形成していくという、ある種のパターンが見えてきたといえるかもしれない。

 M1チップから約1年半を経過してのアップデートということもあり、M2チップの実力は確実に向上している。具体的な性能評価は組み込まれた製品を評価する際に言及したいが、元々スマートフォンやタブレット向けのSoCとして他を圧倒する効率を誇っていただけに、追いつこうとするライバルを突き放す実力には仕上がっていると思う。

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