The GreenFanがケーブルレスになって、まず実感したのは(当たり前かもしれませんが)持ち運ぶハードルが格段に下がったことです。これが想像以上に快適で、こんな使い方をできるようになりました。
扇風機があったらいいなというシーンにおいて、素早く対応できるようになりました。当然、稼働率もグンと上がりました。
気軽に持ち運べることは、もちろん在宅ワークでも役立ちます。私は自室の窓際にThe GreenFanと充電ドックを置いています。「SwitchBot」を使って音声操作でThe GreenFanをいつでもオンにして外気を取り込めるようにしていますが、バッテリー駆動できるようになったおかげで、本当に暑くてかなわない時にThe GreenFanを机のそばまで持ってきやすくなりました。
自室の机回りは、ケーブルがたくさんあってごちゃついています。場合によっては電源プラグをコンセントに刺す前に整理し直す必要もあったのですが、ケーブルレスで使えるバッテリー駆動なら、その必要もありません。
バッテリー駆動となると、実際の駆動時間は大丈夫なのかという点も気になります。私が今まで使ってきた範囲でいうと、使っている最中にバッテリー切れになってしまうことはありませんでした。
The GreenFanの風量は4段階で調整できるのですが、この製品のウリでもある“自然な風”を楽しみたい場合は風量2が事実上の上限です。先述の通り、風量2でのバッテリー駆動時間は公称で約17時間で、少なくとも日中の活動時間内は持つだけの容量は備えています。
本当にパワフルに回る風量4を使わないのであれば、寝室あるいは在宅ワークの執務場所といった家の中である程度長い時間を過ごす場所にドッグを置いて充電しながら使うという運用をすることで、バッテリー切れ問題を未然に防ぐことができそうです。
The GreenFanとBattery&Dockを組み合わせて使ってみて、気になるポイントもあります。それはドックの使い勝手です。
先述の通り、充電はドックに乗せるだけでできます。しかし、この乗せるという“体験”が微妙で、本体のベースにドックを乗せる場所の記号はあるのですが、これが見づらくて慣れないうちはなかなか乗せられないのです。
うまく乗せられたとしても、The GreenFanから「ピッ」という無機的な音がするだけでドックと接続がうまくいったという「手応え」に欠けます。
例えばドックにAppleの「MagSafe」のような強力なマグネットが仕込まれてて、物理的な「カチッ」という音と感覚が伝わるといった工夫があってもいいかなと感じました。
また、使い始めたばかりなので仕方ないことなのですが、バッテリーそのものの寿命が分からないという点も気になります。バッテリーはリチウムポリマー製で、サイクルカウント(充電と放電の繰り返し)にはある程度強いと思われるのですが、熱に弱いというウィークポイントがあります。直射日光下で長時間使うといった状況は避けた方がいいでしょう。
数年前からThe GreenFanとBattery&Dockの組み合わせを運用している知人いわく「だいたい2〜3年で交換するイメージだ」と言っていました。「持ち運べること」と「2〜3年に1度、1万円程度の出費が必要なこと」を比べると、持ち運べることを諦めてしまう人がいてもおかしくないかな、とも思います。
扇風機がどこにでも持ち運べることは想像以上にスタイリッシュで便利だった一方で、ドックの出来はバルミューダらしからぬ詰めの甘さが感じられます。また、バッテリーは消耗品であると考えると、Battery&Dockの約1万円という価格設定は少々割高に感じてしまいます。
とはいえ、「柔らかで自然な風、低回転で微風が出せるDCモーター、バッテリー内蔵でケーブルレスで使える」の3点がそろった扇風機は、日本にほとんどありません。バルミューダのThe GreenFanとBattery&Dockの組み合わせで得られる“唯一無二な体験”は豊かで素晴らしく、価格を除いて満足度は非常に高いものです。
予算さえあえば、この組み合わせは文句なくお勧めです。
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