ベンチマークはこれくらいにして、実際にGV301RAでスト5をプレイしてみた。
GV301RA自体でスト5をプレイしたのが下の映像になる。
もう1つ、GV301RAを前出のLG製の27GK750F-Bに接続してプレイした様子をYouTubeライブの形で配信したのがこちらだ。
いずれにおいても、特に大きな遅延は感じず、違和感なくプレイができた。普段、スト5のプレイに使っているGeForce RTX 3090搭載PCと比較すると若干、入力遅延に微妙な差を感じなくもない……と思ったものの、しばらくプレイしていたら、その差もあまり気にならなくなってしまった。
そうそう、あまり実際の効果は実感できなかったが、AMDが開発したゲームプレイの入力遅延を低減させる「Radeon Anti-Lag」をもAdrenalinで有効化したことを付け加えておく。
Radeon Anti Lagは、GPU性能よりもCPU性能が優秀なときに効果を発揮するとされ、GV301RAのようなCPU内蔵GPUを活用したゲーミングでは強い効果が期待できたはずなのだが……。まぁ、この機能はゲームとの相性があるので、たまたまスト5とは合わなかったのかもしれない。まあ、ゲームの動作を悪くする方には働かない機能なので、GV301RAでゲームをプレイする際には縁起担ぎで有効化しておくのもよいかもしれない。
さて、上の動画のライブ配信は、スト5のゲームプレイをGV301RAで行い、ゲーム実況配信自体は別PCで行っていた。なので、GV301RAはスト5の動作だけに専念できていたわけだ。
ここで筆者のいたずら心……いや探究心に火が付く。
「もっとGV301RAの性能限界を知りたい」ということで、続いて、試したのが、GV301RA単体でスト5のゲームプレイと、ゲーム実況配信ライブの両方を行うという実験だ。
ライブ配信に用いた配信ソフトは定番のOBS。
なんとRadeon 680MはHEVC(H.265)のリアルタイムエンコーダーを内蔵しており、これを活用してやろうじゃないか、ということで、配信コーデックはH.265(HEVC)を選択した。配信解像度はフルHDだ。
挑戦は無謀だったか、スト5のゲームプレイは、さすがにRSRを有効化1760×990ピクセル(GPU割り当てメモリは2GB)ではフレームレートが安定せず。60fps維持には、ゲームプレイ解像度を1280×720ピクセルまで下げなければならなかった。
ただ、それでも、数分に一回の割合でランダムに突然ゲームがごくわずか一瞬止まる「グリッチ現象」があった。これは、配信ソフトのOBSを動かしたことで、2GBとして割り当てたグラフィックスメモリが不足するようになったためだと筆者は推察している。
Ryzen 7 6800HSは物理的にはCPUとGPUとで同一のDDR5メモリを共有をしてはいるが、グラフィックスメモリが足りないと、CPU側のメインメモリ領域との間で無駄なデータの出し入れが生じてしまう。これは、ゲーム専用機のUMA(Unified Memory Architecture)とは違って、PCの場合、CPUとGPUとでは論理的には別々のメモリ空間を扱っていることになっているためだ。
OBSは毎秒60回、配信画面を構成し、それをGPU側のHEVCエンコーダーに入力するためにデータ伝送を行っている。映像のエンコードは専用ハードウェアで行われるため、GPUのグラフィックス描画には影響がほぼない。しかし、ゲームよりはだいぶ低負荷とはいえ、OBSもその配信画面の構成(組み立て)処理については、GPUとグラフィックスメモリを活用して行っている。スト5がギリギリ動いているGV301RAにとっては、OBS動作分の追加のGPU負荷も少々重荷だったようだ(笑)。
加えて、GV301RA単体でゲームプレイとライブ配信を続けていたところ、突然、スト5のゲームが消失し、GV301RAの電源が切断することがあった。その時、GV301RAを触れたところ、触れないほどチンチンに過熱しており、どうやら発熱異常で強制電源切断となってしまったようだ。ちなみに、この後、GV301RAに扇風機の風を全開であて続けたところ、こうした強制電源切断は2度と起きなかった。
どうしてもGV301RA単体でゲームプレイと実況配信を行う際には(強くお勧めしないが)、扇風機を準備しておくことをお勧めする。
さて、ひとまず、「AMD製CPUの内蔵GPUでスト5を最高品質でプレイできる」ことが今回、確認できたわけだが、機会があれば、Intel系CPUの内蔵GPUでも試してみたいと思った。
そのチャンスが来たら、またお会いいたしましょう!
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