「Bing」の大幅アップグレードでGoogleを追撃!? Microsoftが「OpenAI」に最大100億ドルの投資をするワケ本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/4 ページ)

» 2023年02月08日 06時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 米国のAI研究機関の「OpenAI」が2022年にリリースした「ChatGPT」が大きな話題を呼んでいる。先日、それがどのような特徴を持ち、どのような課題を抱えているのかレビューを交えつつ紹介した。

 昨今はChatGPTで大きな注目を集めるOpenAIだが、同機関は画像生成AIモデル「Dall・E2の開発も手がけている。驚くほどに流ちょうな文章を生成するAIモデルや、呪文のように話し言葉を唱えるとその説明に近い絵画を生成するAIモデルなど、Open AIは一般のユーザーを含めてさまざまな驚きを提供し、これまでにない新しい価値を提供している。

 詳しくは後述するが、OpenAIは元々非営利の学術研究プロジェクトとしてスタートしたが、高品位のAIモデルの開発/運営をするために2019年10月にMicrosoftから10億ドルの投資を受け入れた。さらにMicrosoftは2021年にも同組織を追加投資し、2023年1月には数年間に渡って数十億ドルの投資を実行することを表明した。この投資は最大で100億ドルに達する可能性があるとの報道もあるが、新しい驚きや新しい価値を提供しているからといって、Microsoftが日本円にして1兆円を超える投資を行うつもりというのは、よほどのことである。

 以前は技術面からOpenAIを紹介したが、今回は「なぜMicrosoftがOpenAIに再び(しかも巨額の)投資をしたのか?」「Microsoftはどうやって投資を回収するのか?」といった側面に焦点を当てて、Microsoftの戦略をひもといていきたい。

告知 MicrosoftによるOpenAIへの追加出資を知らせるブログのエントリー

OpenAIの“自主性”を維持しつつ、自社製品に取り込むMicrosoft

 ChatGPTやDALL・E2自体は、とても優秀なAIモデルだ。しかし、過去の歴史を振り返ってみると、どれだけ技術面で先行していようとも、時間の経過と共にOpenAIに追いつく企業は次々に登場することは間違いない。ただ、それでもMicrosoftはOpenAIの“自主性”を重んじ、そこから生まれた“果実”(研究成果)を戦略的に自社製品へと取り組んでいくつもりであるようだ。

 2023年1月に発表された「数十億ドル規模の追加投資」は、過去2回の投資の延長線上にあると思われる。MicrosoftやOpenAIからは出資スキームの説明はないが、海外の各種報道を総合すると、投資のスキームは以下の通りとなる。

  • Microsoftは、数年に渡って数十億ドル(最大で100億ドル規模)の投資を実施
  • 投資の回収が完了するまで、MicrosoftはOpenAIが生む利益の75%を受け取れる
  • 投資の回収後、MicrosoftはOpenAIの株式の最大49%を取得できる

 加えて、OpenAIの各種AIプラットフォームはMicrosoftのクラウド基盤「Azure」に移植され、学習プロセスでもAzureが使われるようになる。

 しかし、筆者はMicrosoftの真の狙いはインターネットの「使い方」「使われ方」の革新ではないかと見ている。

目的 追加出資により得られるMicrosoftのベネフィット(ブログエントリーの日本語抄訳より)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月25日 更新
  1. 画面が伸びる! 勝手に回る! デジタル文房具の未来を拓くLenovoの“変態ギミック”搭載PC 3選 (2026年02月23日)
  2. AI故人との対話は「1年」まで?――開発者があえて「卒業」を推奨する理由 (2026年02月24日)
  3. 羊の皮を被った赤い狼 日常に溶け込む“ステルス”デザインにRTX 5070を秘めたゲーミングノート「G TUNE P5(レッド)」レビュー (2026年02月24日)
  4. パーツ高騰の救世主? 実売6000円弱のコンパクトPCケースや1.4万円のIntel H810マザーが話題に (2026年02月23日)
  5. 16GB版と8GB版のすみ分けが進むRTX 5060 Ti――HDD「完売」報道の影響は? 今週末のアキバパーツ事情 (2026年02月21日)
  6. モニター台とドッキングステーションが合体した「Anker USB-C ハブ 10-in-1 Monitor Stand」が28%オフの1万7990円で販売中 (2026年02月20日)
  7. マウスの概念が変わる! ロジクールG「PRO X2 SUPERSTRIKE」が切り開く“身体感覚”と直結する新たなクリック体験 (2026年02月18日)
  8. ルンバが日本のために本気を出した! 「Roomba Mini」が示す“小が大を兼ねる”新基準とは (2026年02月21日)
  9. サンワ、手首の負担を軽減するエルゴデザイン形状のワイヤレストラックボール (2026年02月24日)
  10. Amazfit、チタン合金ボディーを採用した高耐久スマートウォッチ (2026年02月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年