OpenAIの力を借りて、MicrosoftはAI言語モデルの利活用における攻勢を強めている。そこで気になるのが、Web検索の絶対的王者であるGoogleの動向だ。
先述の通り、GoogleのBardは急きょ発表された。今後もGoogleはAIに関する取り組みを随時発表していくそうだが、AI分野における「Microsoft+OpenAI連合」との競争はますます激化することは間違いない。
2014年にDeepMindを買収して以来、GoogleはさまざまなAI技術の開発を行ってきた。ある意味で、Microsoftに先んじて技術開発に取り組んできたともいえる。
しかし「優れたAIモデル」を開発するには、極めて多数のパラメーターを用意する必要があり、当然大規模化する。そうなると、学習情報をそろえるために多額の資金も必要となる。当初は非営利組織だったOpenAIが、資金のために収益事業を強化し、Microsoftから数次に渡る出資を受け入れたことは、そのコストの問題を想起させるには十分だろう。
Microsoftの場合、AIモデルの開発/維持/改善に必要なコストをどのように商品に転嫁するのか(≒OpenAIへの投資をどうやって回収するのか)が大きなテーマとなる。同様に、収入の多数をWeb広告に依存しているGoogleも、AIモデルにかかる費用をどう捻出するのかが大きな課題となる。もちろん、両社共にライバル企業との競争もある中で、費用面の手当てを付けなければならない。
現時点では、さまざまな生産性向上ツールにおいて大きなシェアを持ち、そこにAI言語モデルを組み込むことで事業強化を図れるMicrosoftの方が収益構造の面で優位に立てるように思える。しかし、Googleも今後の展開によっては巻き返しを図れる可能性もあるし、実際にそのようなアイデアを矢継ぎ早に提示するだろう。
いずれにしろ、テクノロジー業界は、その勢力図が大きく塗り替えらえる時期を迎えつつある。
Googleが急きょ発表したBardは、同社が2021年5月に発表したAI言語モデル「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)」をベースに開発されたという。OpenAIのGPTとは異なり、その名の通り会話(≒チャット)のやり取りに特化してモデルを作ったことが特徴である
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