Microsoftが2月7日(米国太平洋時間)、自社のWeb検索エンジン「Bing(ビング)」とWebブラウザ「Microsoft Edge(エッジ)」においてOpenAIが開発した自然言語AIモデルを適用する旨を発表した。
一部では「Bing(あるいはEdge)で『ChatGPT』が使えるようになった!」という旨の報道も見受けられるが、これは厳密には正しくない。今回は、新しいBingやEdgeに実装されたAI技術を解説しつつ、両者を実際に使ってみた感想を述べていきたい。
【更新:2月17日13時35分】一部の記載を更新しました
先日レビューしたChatGPTは、OpenAIのAI言語モデル「GPT-3.5」をベースとして開発された。
それに対して、新しいBingとEdgeに搭載されたAIチャット/コパイロット機能(開発コード名:Sydney)は「ChatGPTよりも強力で、検索専用にカスタマイズされた新しい次世代OpenAI大規模言語モデル」をベースに開発されたという。長ったらしいので要約すると、このモデルはGPTの次世代バージョン「GPT-4(開発コード名:Prometheus)」をベースに開発されたものだと思われる。従来のGPT-3ベースのチャットサービスと比べると会話の深みが増しているので、少なくともGPT-3シリーズから進化したものであることは間違いないだろう(詳しくは後で試してみたい)。
Sydneyは、いわゆる「チャットボット」ではない。どちらかというと「チャット風に応答しつつ、結果を要約表示できるWeb検索」と言った方が正確だ。「全く新しい検索エンジン」と呼んでも過言ではない。
Edgeでは、この要約機能がブログのエントリーやSNSの投稿の「テンプレート」を作る機能としても生かされている(詳しくは後述する)。
Microsoftの動きに対抗する形で、Googleも2月6日に対話型AIサービス「Bard」を急きょ発表した。まずは「信頼できる少数のテスター」向けに公開し、後日一般公開するという。
Bardを実際に試せるのはしばらく先となりそうだが、現時点においてMicrosoftのSydneyは正しい情報にたどり着く、あるいは事務連絡や既知の情報をまとめる用途では十分に実用的な領域に達している。
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