発表会場では3モデルの実機が展示されており、自由に見たり触れたりできるようになっていた。
Jabra Speak2 75は、実際に手にすると思った以上にずっしりとしている。ワークプレイスからワークプレイスへと持ち歩く、という使い方よりもオフィス内の複数の会議室間を持ち歩くという使い方がしっくり来る。
先述の通り、ボディーはアルミニウム製で、天面は大部分がファブリック素材で覆われている。“メタリック感”が強かった従来のJabra Speakシリーズとはたたずまいは少し異なる。
一方で、Jabra Spea2 40/55は、75と比べると“カジュアルな”印象で、ボディーもスリム。気軽に持ち歩けそうである。ボタン類の機能も分かりやすくプリントされているため、操作に迷うこともなさそうだ。
サステナブルな素材を使っているとのことだったが、決して安っぽい印象はなく、ダークグレーのカラーリングが重厚感を醸し出している。発表会において、GNオーディオジャパンの加藤昭彦氏(シニア ソリューション エンジニア)は「(Speak2シリーズは)面構えがプロフェッショナルにふさわしく、ホームオフィスなど仕事をするどの場所にもフィットする」と語っていたが、それにふさわしいエレガントさは、確かにある。
シリーズ共通で採用されている、巻き取り式のUSB Type-Cケーブルも好印象だ。デジタルデバイスを複数持ち歩く人の抱く、必要なケーブル類がバッグの中でごちゃついてしまうという悩みを1つ解決してくれるからだ。また、いざ使おうと思ったときに「ケーブルを忘れた!」というミスを防げる。
発表会場のデモコーナーでは、主にJabra Speak2 75を体験できたが、誰かが発話しているとマイク品質インジケーターが緑色に光るようになっており、きちんと声が届いているかどうか確認しやすいのは好印象だった。「画面の向こう側」のJabra Speak2 75の声も明瞭に再生できていた。
会議室に1台置けば、テレワーク勤務者を含めた外部とのコミュニケーションが円滑になる――そのことがよく分かるデモンストレーションだった。
GNオーディオジャパンの安藤靖社長によると、GNグループの製品は世界100カ国以上で販売されているという。スピーカーフォンのシェアは、日本国内で28%(2021年:台数ベース)と、2位になっているという。
発表会で配布された資料によると、Jabraブランドのスピーカーフォンは「世界で1分に2台売れている」という。そんな“売れ筋”の新モデルの世界初披露が、なぜ日本で行われることになったのだろうか。GN Groupのカラム・マクドゥーガル氏(グローバル・マーケティング シニア・バイス・プレジデント)は、こう説明する。
「日本のワーカーのうち、56%が理想としている働き方がハイブリッドワークであり、会議がハイブリッド化していると回答したのは全体の68%だった。しかし、ハイブリッドワークのツールに満足しているのはわずか8%。そこに含まれていない人たちの満足度を上げるために、日本でSpeak2シリーズを発表することにした」
ここでいう「ハイブリッド会議」は、自宅やカフェなどのテレワーカーと、会議室などに集まった複数のオフィス勤務者が一緒に行うWeb会議のことを指す。このような形態の会議では、オンサイトの人同士は話が進めやすく盛り上がる反面、テレワーカーたちは盛り上がりから置いて行かれやすいという課題がある。
「どこにいても同じ内容を共有する、会議の公平性を保つためにオーディオの品質アップに注力する必要がある」(マクドゥーガル)からこそ、世界初披露の場所として日本が選ばれたようである。
ハイブリッド会議向けのソリューションを考えると、昨今はノートPCもスピーカーやマイクの性能強化を図っている。中にはスピーカーフォンが得意とする空間集音に最適化した集音モードを備えるものもある。それだけに、発表会では「Web会議をしやすいノートPCが登場する中、あえて外付けデバイス(スピーカーフォン)を使うメリットはあるのか?」という質問もあった。
これに対して、安藤社長は「PCの性能が年々上がっているとはいえ、全員が最新機種を使っているわけではないし、最新機種であったとしても全てがオーディオ回りに力を入れているとは限らない。(スピーカーフォンには)PCのスペックがどのようなものであれ良い音質の恩恵にあずかれるというメリットがある」と回答した。加藤氏は「(会議に)タブレット端末から参加するメンバーもいる。(スピーカーフォンなら)多様化したユーザーに対応しやすいことがメリットだ」と答えていた。
新しいJabra Speak2シリーズは、働き方が多様化した今だからこそ登場したデバイスだといえよう。
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