アプリについても、一般的な機能は網羅されており、使い勝手もこなれているのだが、長く使っているとちょくちょく気になる点は出てくる。
個人的にもっとも困っているのが、決まったスポット(ウェイポイント)に一発で移動できる機能がないことだ。本製品には、登録した最大4つのスポットを自動巡回してくれるクルーズ機能が用意されているのだが、そこで登録した個別のスポットにダイレクトに移動できる機能はない。必ず順番に巡回する形になる。
そのため、例えば4つのスポットを自動巡回中に2つ目のスポットに異常があると判明しても、そこにカメラを向ける操作は手動になる。自動巡回をメインにするのではなく、登録済みのスポットを効率的に見るために自動巡回機能があるという設計の方が理にかなっていると思うのだが、現状はそうではない。せっかくのパンチルトモデルなのにもったいない印象だ。
またこれは他のATOM Camシリーズのカメラもそうなのだが、映像の保存先も、かなり癖があるというか、分かりにくい仕様だ。まず基本機能として提供されるモーション検知だが、これは本体内ではなくクラウドに保存される。ただし時間は12秒限定で、保管期限も2週間と限られている。
本体のスロットにメモリカードを挿入すれば、モーション検知とは別に24時間365日の常時録画が可能になる。常時録画できるカメラが減ってきている昨今では貴重な機能だ。ただしメモリカードは最大32GBと、現行のネットワークカメラとしてはかなり心もとなく、いざ入手しようとするとかえって割高なのが困りものだ。
この他、有料のクラウド録画プランも用意されているが、ATOMが自社で提供しているプランは月額660円と安価なものの、常時録画ではなく12秒制限がなくなるだけ、また2週間という保管期限もそのままだ。どちらかというと、これとは別に存在する、外部サービス(ソラコム)を組み合わせたクラウドへの常時録画の方が機能としては魅力的だ。
ただしこのクラウド録画、契約後はスマホアプリのログイン先がATOMでなくソラコムになるため、ATOMのカメラを複数所有している場合、他のカメラを見られなくなってしまう。毎回ログアウトとログインを行うのは非現実的なので、2つのスマホを用意し、それぞれでログイン状態をキープするのがベターということになる。これではちょっと困る。
もちろん全カメラについてクラウド契約を行う選択肢もあるが、台数ごとの契約になるので、例えば同社のカメラを4台所有していると、4台分の料金がかかってしまう。以前紹介した「Google Nest Cam」のように、カメラ自体を何台所有していても、1契約だけで済むプランもない。帯に短したすきに長しという印象だ。
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