消費者庁は6月23日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)に対し景品表示法に基づく措置命令を発出した。同社が運営するWeb通販サイト「富士通 WEB MART」における一部製品の販売価格の表示が、景品表示法における「有利誤認」に該当すると判断されたことによるもので、価格表記の是正と再発防止を求めている。本件を受けて、FCCLでは既に表示を改めている。
商品やサービスの“取引”について、実際よりも著しく良い条件で契約(購入)できると偽った宣伝を行ったり、競合商品/サービスよりも著しく有利に契約(購入)できるかのような宣伝を行ったりすることを「有利誤認」といいます。景品表示法では、第5条第2号で規定されています。
類似の概念として「優良誤認」もありますが、こちらは商品やサービス“そのもの”に関する規定で、実際よりも著しく優れていると宣伝したり、事実に反する形で競合商品/サービスよりも著しく優れていると宣伝したりすることを禁じています。景品表示法では、第5条第1号で規定されています。
有利誤認と優良誤認まとめて「不当表示」と呼ばれています。
今回の措置命令は、FCCLが富士通 WEB MART上で販売するノートPC「LIFEBOOK」のうち15商品について、景品表示法第5条第2号にが禁止する有利誤認に該当する事案を確認できたことから発出された。
今回問題となった事案は、大別すると2つに分かれる。
当該商品は、販売ページにおいて「WEB価格」と「キャンペーン価格」の2つの価格が表記されていた。キャンペーン価格については期間も併記されており、普通に読み取ると「WEB価格が『通常価格』で、キャンペーン価格は『期間限定価格』である」という認識となるはずである。
このような価格表記は「二重価格(表示)」と呼ばれるもので、スーパーマーケットなどのチラシでもよく見かける。通常の商習慣ではよくあることだ。しかし、「通常価格」が実績のない価格(≒その値付けで販売されたことのない価格)である場合は有利誤認と見なされる。
今回の事案において、消費者庁は当該商品の「WEB価格(通常価格)」が実績のない価格であると認定したことになる。
当該商品の一部では、不当な「期間表示」も認められたという。細かく見ると2つのパターンに分けられるが、いずれもキャンペーン期間が終わっても「キャンペーン価格」で購入できる状態だったことが有利誤認と見なされた。
【ノートPC単体での購入に関する事案(12商品)】
当該商品のうち12商品は、期間を過ぎても先述の「キャンペーン価格」で購入可能な状態にあったという。
【まとめ買いに関する事案(8商品)】
当該商品のうち8商品については、複数台購入時に「キャンペーン価格」からさらに値引きを行う「まとめ買いキャンペーン」を行っていた。しかし、期間を過ぎてもまとめ買いキャンペーン(と「キャンペーン価格」)の適用が行われていたという。
今回の措置命令を受けて、FCCLは以下のようにコメントしている。
弊社は今回の措置命令を厳粛かつ真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります。今後は、社員教育のさらなる徹底、掲載前の社内審査など、景品表示法をはじめとするコンプライアンスおよび管理体制を強化し、適正な広告表示を遵守し信頼回復に努めてまいります。
なお、消費者庁に指摘された事項については、既に是正済みだ。
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