ソースネクストは8月2日、高齢者見守りソリューションを提供する「Tellus You Care」と協業し、新しい見守りデバイス「POM(ポム)」を発表した。本体の想定販売価格は3万9800円(税込み、以下同)で、利用するには別途スマートフォンアプリのサブスクリプション契約(月額1980円)も必要となる。
8月7日から9月30日まで応援購入サイト「Makuake」において、本体とアプリの6カ月利用分のセット(5万1680円相当)を52%オフの2万4800円で先行発売した後、自社のオンラインショップなど、広い販路で販売される予定だ。
POMを開発したTellus You Careは、2017年に米サンフランシスコでタニア・コーク氏(現CEO)とケビン・シュー氏(現CTO)の2人が創業したベンチャー企業だ。両氏は共に米スタンフォード大学出身で、タニア氏はGoogle、シュー氏はAppleなどでの勤務経験がある。
同社はコーク氏が遠方に住む祖母を介護した実体験をきっかけに生まれたといい、最先端の技術でエルダー・ケア(高齢者介護)を革新的に変えることを目標にしているという。2020年2月には日本法人(オフィス)も設立している。
今回、ソースネクストを通して発売されるPOMは、日本で初めてミリ波レーダーを活用したコンシューマー向け見守りデバイスだ。POMという名前は、「ユーザーと家族の両方に安心(Peace of Mind)を提供したい」(ソースネクスト小嶋智彰社長)という思いに由来するという。
ミリ波レーダーは対象物の位置、動きの速度や方向を高精度に感知する技術だ。見守り用途に有用ではあるものの、コストの問題で家庭向けデバイスでの利用は困難とされてきたが、昨今は自動車の自動運転/運転支援やドローンなど、汎用(はんよう)的に使われるようになったことでコストが低下し、POMへの応用も可能になったという。
POMの場合、ミリ波レーダーは睡眠習慣や心拍数を“非接触で”モニタリングするために使われる。見守る対象者の寝室の壁に取り付けておけば、「ベットの上にいる時間」「活動(動いている)時間」「睡眠時間」「心拍数」「呼吸数」といったデータを自動的に取得可能だ。地域に応じた「熱中症アラート」も発出できる。
「ミリ波レーダーで、どうやって見守るの?」という点だが、仕組みを簡単に説明すると以下の通りとなる。
ここでいう「機械学習アルゴリズム」は、点群データやラベルデータを作成し、それらを機械学習させた結果、「人が部屋にいるのかいないのかなどが分かる」というものだという。個人のプライバシーに関わるようなデータは解析(検出)しないように配慮されているそうだ。
ミリ波レーダーは“電波”ではあるが、レーダーを照射し続けても人体に影響が及ばない程度の微弱なものとなる。
POMと心電図と比べた際の心拍測定の平均絶対誤差率は約6.36%で、仕組みを考えると誤差は少なめだ。コークCEOによると、現状は「5m四方の部屋(25m2)で1人をモニタリングすることが限界」とのことで、「今後は同じ部屋に複数人いる環境でも計測できるようにしていく」という。
POMの使用には、Wi-Fi(無線LAN)環境が必要となる。また、POMが取得したデータを確認したり熱中症アラートを受け取るにはスマートフォンアプリが必要となる。アプリは当初、iOS 13以降を搭載するiPhone向けのみ用意される。Android向けアプリも開発される予定だが、リリースは2024年以降となる見通しだという。
このアプリでは、見守り対象者の毎日の様子、行動の変化、睡眠リズムの変化に気づけるという点が大きな売りとなっている。
POMの初期設定(セットアップ)は、コンセントにACアダプターを挿入して、スマホアプリをインストールした後、アプリのガイダンスに従うだけで簡単に行える。ベッドの位置、寝室の寸法、見守る相手の情報などを入力すれば完了だ。
POMのサイズは約96(幅)×96(奥行き)×42(高さ)mm、重量は約200gと、比較的コンパクトに収まっている。カラーは、さまざまなスタイルの部屋に設置しやすいホワイトのみとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.