ベンキュージャパン(台湾BenQの日本法人)は8月2日、短焦点タイプの4Kレーザープロジェクター「LK936ST」の製品説明会を開催した。本製品は4月28日に発売されたもので、実売価格は70万円(税込み)前後となる。
LK936STのユニークなポイントが、ゴルフシミュレーター(インドアゴルフ)に最適とされている点だ。一体、何をもって“最適”とうたっているのだろうか。
ベンキュージャパンによると、BenQのゴルフシミュレーター用プロジェクターは、米国において既に累計8000台(日本円で30億円相当)の売上実績を上げているという。その背景として、同社は「(米国では)自宅のリフォームに合わせて、ガレージをインドアゴルフを楽しめるように改装する人が多い」ことを挙げる。日本でこの手のリフォームを行う場合、予算の中央値が700万円〜1000万円程度になるという。LK936STは、少しでも予算を抑えつつ、高品質なバーチャルゴルフ環境を求めるユーザーに支持されているようだ。
その最大の特徴は、4K(3840×2160ピクセル)解像度での投影に対応しながらも短焦点表示に対応していることである。焦点比は「0.81〜0.89」に設定されており、1.1倍のズーム表示にも対応しているので、約3.3mの距離から約180型の映像を投影可能だ。限られたスペースでも、大きなスクリーンに映像を映せる。
また、レーザー光源を採用していることも特徴だ。これは、ゴルフシミュレーターに最適化する上で、以下のメリットを評価したのだという。
投写方式はDLP(Digital Light Processing)で、最大投影解像度は先述の通り4Kとなる。「ゴルフシミュレーター向けに、そこまで高い解像度が必要なのか?」と疑問を持つ所だが、フルHD(1920×1080ピクセル)など、低解像度のシステムでも「超解像技術」によって映像の臨場感を高めるための配慮のようだ。もちろん、まだ絶対数は少ないものの、4Kネイティブのシミュレーターシステムのポテンシャルも生かせる。
「ゴルフシミュレーター用」をうたうLK936STだが、そのハイスペックさゆえにさまざまな用途に使うことができる。
映像ポートはHDMI 2.0入力端子×2(うち1基はARC対応)とDisplayPort 1.2a入力を備えており、ハイエンドPCやゲーム機と組み合わせれば、大画面で映画やゲームを楽しめる。
設置の柔軟性を生かして、ベンキューはデジタルサイネージやプロジェクションマッピングでの利用にも最適とアピールしている。これらの用途で使う際に便利な機能として、画面表示を0.5%単位で縮小できる「デジタルシュリンク」や、「PJLink」規格に準拠した一括管理機能も備える。
地味だが、吸気口と排気口の掃除がしやすい設計であることも魅力だ。先述の通り、本機は光学回りは防じん設計としているが、吸気口にはどうしてもホコリがたまりがちである。いくら「発熱が少ない」とはいっても、たまったホコリが原因で十分な排熱ができないとなると故障につながる可能性もある。すぐに掃除できるのはありがたい。
スペックや実売価格を子細に見ていくと、LK936STはどちらかというと「“業務用”プロジェクターとして作られたのではないか?」と思える面が多い。事実、ベンキューのWebサイトでも、本製品は「法人・教育機関向けプロジェクター」のカテゴリーに属している。
しかし先述の通り、米国では自宅をリフォームする人、つまり“個人(家族)”ユーザーが本製品を導入するケースも少なからずある。日本でも「個人が(ゴルフシミュレーターと合わせて)導入できるの?」という旨の問い合わせが増えているそうだ。「ゴルフシミュレーター用プロジェクター」というニッチな分野で、個人ユーザーにどれだけインパクトを与えられるのか気になるところだ。
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