より確実な防水/防じん性能を確保するために、TOUGHBOOKではボディーの全周に溝を設けて、そこに耐水/耐熱/経年劣化への対策を施したシリコンを流し込む「シーリング」を施している。
ただ、多種多様なインタフェースやオプションデバイスを収容するため、TOUGHBOOKのボディー形状は複雑だ。「溝にシリコンを流し込む」と言うのは簡単だが、実際には高度な工作技術が求められる。
そこでパナソニック コネクトでは、自社工場にロボットを導入し、高い精度でシーリングを施せるようにした。ボディーのインタフェース類の防水性を確保するためのラバー製クッションについても、ケーブルの抜き差しで傷が付きにくい素材を用いているという。
なお、TOUGHBOOKはコネクターにケーブルを差したまま使えることを特徴の1つとして訴求している。しかし、ケーブルを差したまま使うと、防水/防じん性能を保証できないともしている。
実は以前、防水/防じん対応のコネクターを用意していた時期もあったが、今のラインアップでは搭載されていない。本件については、海外では個別対応で防水/防じん対応のケーブルを用意することで対応したケースもあるという。しかし、原則としてパナソニック コネクトとしては対応していないので、「どうしても」という場合はSIerなどに相談してほしいとのことだ。
TOUGHBOOKのユニークな取り組みとして、「バッテリーの発火」対するダメージを最小限に抑える工夫も施されている。
TOUGHBOOKのバッテリーパックは、基本的にリチウムイオン電池を複数のセルに分けた構造になっている。その際に、セルとセルの間に耐熱性を持たせたガラス素材「マイカ(雲母)」を用いた“防火壁”を設けることで、万が一に1つのセルが発火しても、他のセルへの延焼を防ぎ、結果的に本体へのダメージを軽減できるようにしている。
バッテリーの安全性向上策は、この他にも「バッテリーの電流/電圧/温度を監視して異常発生を予測する機能」や、「状況に応じてバッテリーの充放電を最適化する制御」が盛り込まれている。
バッテリーが発火した際は、大量のガスが発生する。延焼を防ぐためには瞬時にガスを排出することが重要だ。しかし、防水性能を高めているTOUGHBOOKは、普通に考えると本体の密閉度が高いがゆえにガスの排出が困難、つまり延焼しやすい構造になってしまう。
この問題を解決するために、TOUGHBOOKでは本体のバッテリー収納部の底板にスリットを設け、そこに熱で溶けるシートを被せている。通常時はこのシートが防水性能を担保しているが、バッテリーで火災が発生すると熱でシートが溶け、スリットからガスを排出できるようにしている。万が一への備えもしっかりされているのだ。
一通り説明を聞いた所で、筆者的に“気になっていること”を質問してみることにした。
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