キーボードについて見ていこう。
キーボードは日本語JIS配列だ。Apple純正のキーボードと同様、最上段にファンクションキーを用意しており、画面の明るさの調整や、音楽の再生/一時停止、音量調整やミュートなども行える。また右上に配置された電池マークのボタンを押すことで、電池の残量をチェックできる。
キー配置は純正キーボードに準じているが、唯一異なるのが「\」キーだ。このキーは通常はBackSpaceキーの横、数字キーの右にあるが、本製品では同じ列の左端、数字キーの左に配置されている。利用頻度は低いのでそれほど大きな影響はないが、そのぶん慣れる機会は少なく、いざ使う時にはやや戸惑う。
キーピッチは実測で18mmを確保する。理想は19mmだが、ケースと一体型のキーボードは横幅を勝手に広げられないため、そうした制約の中で18mmのキーピッチを確保しているのは優秀だろう。従来モデルは17mmだったことを考えると、かなり理想に近づいたことになる。
キータッチは、ストロークが1mm近くあることもあり、全体的に押しやすい印象だ。従来の純正のSmart Keyboardのように、キー全体がシートに覆われた、ペコペコした感触ではなく、1つ1つのキーが独立して沈み込むタイプなので、ノートPCのキータッチに慣れている人もなじみやすいはずだ。
利用にあたっては、最上段のファンクションキー列の右から2番目にあるBluetoothボタンを押すことによって、iPad本体とのペアリングが行える。一旦ペアリングを行えば、画面の開閉と連動して自動的に電源はオン/オフされるので、手間がかからない。
本製品を始めとする外部キーボードでテキスト入力を行うにあたっては、必要に応じていくつか設定を変更しておきたい。初期設定ではライブ変換がオンになっているので、スペースキーを押さなくても漢字が自動的に変換されていく。これに違和感があるようならば、「設定」→「一般」→「ハードウェアキーボード」で、ライブ変換をオフにしておこう。
また同じ画面の「修飾キー」で、キーボードの割り当てを変更できる。デフォルトでは割り当てが存在しないEscキーを、地球儀に割り当てる設定が可能なので、文字変換などの使い勝手を向上させたければ、変更しておくとよいだろう。この他、左下にあるCapsLockキーをCommandキーに変更する設定も可能だ。
使い勝手については、クセもなく良好だ。前述の\キーは利用頻度が低いこともあり、通常の文字入力で気になることはほとんどない。製品としてはかなり世代を重ねていることもあり、全体的に洗練されている印象だ。
注意したいのは、本製品はトラックパッドを搭載していないことだ。それゆえ、画面上のカーソル移動は画面をタッチして行うか、別途Bluetoothマウスなど利用することになる。これがNGということであれば、本製品ではなく同社のCombo Touchか、純正のMagic Keyboard Folioを選ぶべきだろう。
ちなみに本製品は、iPad本体を収納したケース部をキーボードに重ねるように折りたたむことで、ペン入力などに適したスタイルで利用することもできる。もっともキーボードの上に本体を乗せているだけで、あまり安定しておらず、フワフワして書きづらい。一般的な手書きメモレベルならまだしも、クリエイティブ用途での利用は一考を要するだろう。
なお本製品はキーボード部などを個別に分離させることはできないので、利用スタイルは一般的なノートPCに似たラップトップスタイルと、このペン入力スタイルの二択となる。キーボードを外して動画を鑑賞するといったスタイルでは使えないことは、知っておいた方がよいだろう。
ちなみに本製品はコイン型電池(CR2032)で駆動する。電池と聞くとあまりいい印象を持たない人もいるかもしれないが、1日2時間のタイピングで約3年もの電池寿命を実現している。数年間使い続けるとしても、間で交換するのは1回だけで済む計算だ。直近1年や2年といったスパンで電池切れを気にしなくてよいのは大きな利点だろう。
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